臨時国会が12月10日、閉幕した。外国人の受け入れを促進する入管難民法改正案の審議を巡り「横暴」「拙速」「生煮え」などの言葉が飛び交い、閣僚のスキャンダルや珍答弁も目立った国会は、「安倍1強」ぶりが際立った。どんどん強引になる安倍政権の国会運営。それを許し続ける野党。48日間の攻防を振り返る――。
2018年12月7日、参院本会議で堂故茂農林水産委員長の解任決議案の趣旨説明をする自由党の森裕子幹事長。(写真=時事通信フォト)

議長が「やめさせて、連れて行け」と指示

改正入管難民法は12月8日、午前4時過ぎに成立した。成立を目指す与党と、それを阻止しようとする立憲民主党など野党との対立は激烈だった。

ハイライトシーンは7日昼、参院本会議での参院農水委員長の解任決議案採決前のシーン。演説を続ける自由党の森裕子氏に対し、伊達忠一議長が「やめさせて(森氏を)連れて行け」と言い放った。そのころ、自民党の大家敏志・参院議院運営委員会(議運委)理事は、演壇の近くで野党議員と小競り合いになり、立憲民主党議員は「小突かれた」と訴えた。

自民党側にも言い分がある。森氏は、定められた演説時間を大幅に超えて演説していた。伊達氏も最初は「簡単に願います」「まとめてください」などと穏やかに語っていたのだが、最後に「キレた」ようだ。

大家氏も、一方的に野党議員に襲いかかったというわけではなく、双方もみ合いの中で「小突き」が起きた。

すぐに手荒い言動に出てしまうのが安倍政権の体質

しかし与党は、野党側の挑発に乗らないのが基本動作。挑発に乗ってしまえば野党側に利用され、議事が混乱するからだ。特に議会運営を仕切る議長や議運理事は、「忍の一字」を貫くことは徹底的に訓練されているはず。にもかかわらず、手荒い言動に出てしまうというところが、今の安倍政権の体質と言っていい。

普通の展開なら、これで国会は止まり、後日仕切り直しとなっただろう。しかし与党は、改正入管難民法を成立させてしまった。大家氏は議運理事を辞職し、国会日程も予定よりは数時間遅れはしたが、それは誤差の範囲内。これぐらいのハプニングでは当初方針を変えないというのが「安倍流」だ。