共働き夫婦の場合、お互いの口座残高を把握していないことが多いだろう。ファイナンシャルプランナーの山崎俊輔さんは「年に1回、年末に夫婦で通帳を見せあうといい。貯蓄高や貯蓄率を確認し、大型出費の予定などを話し合っておくと、貯められる家計になる」という。この“年イチの儀式”の効用とは――。

年に一度だけ貯蓄状況をクロスチェックすべし

共働きの場合、それぞれの口座に給与が振り込まれるため、お互いに相手の口座残高を把握できないのが通常です。

山崎俊輔(著)『共働き夫婦 お金の教科書―2人で働き続ければ生涯6億円が得られる』(プレジデント社)

しかし残高把握をしないまま何年も経過してしまうのは、良い状態とはいえません。どうしても貯蓄目標が達成できなかった年があっても、それを相手にカミングアウトできないまま何年もたつと、「本来は100万円残高が増えているはず」の口座にまったく残高が増えていないということもあり得ます。

どうしてもうまく貯められない時期があることは仕方がありません。残業代があまり出ない時期や景気が今ひとつでボーナスが少ない時期もあるからです。白物家電の買い換えなどのタイミングで出費がかさむこともあるでしょう。

ただ、問題の共有がされないまま時間が過ぎて、「貯めていたはずの100万円が今必要になる」ときがやってきたとしたらどうでしょうか。住宅購入の頭金のように、「準備額を減らして購入する」「購入タイミングを少し遅らせる」のような選択肢が取れればけんかだけで済みますが、子どもの入学金や予備校の費用のように「今、払わなければいけないお金の不足」として問題が顕在化すると、さらに話はややこしくなります。

貯蓄状況はときどき共有して、お互いの進捗状況を確認しあうことが大切です。

年に一度はお互いの預金残高を開示しあう

毎月残高を見せあうのは現実的ではありませんが、年に一度くらいは確認したいものです。ベストなタイミングは年末だと思います。年末に会社からもらう源泉徴収票で「年収」がわかります。また、貯蓄額の未達があっても、冬のボーナスを使えばある程度カバーできるからです。「あなたはボーナスから使えるおこづかい枠が減るけど、毎月ちゃんと貯めていなかったんだから、しょうがないわね」というわけです。

家計簿アプリを継続して記帳している場合、各種口座と連携する機能を持っているならチェックは簡単です。起動画面から口座ごとの資産総額について表示された画面を見せあえばそれで終わります。口座が貯蓄専用口座になっているなら、昨年末との残高対比で確認するだけでもっと簡単です。もしそうでないなら、各金融機関のウェブページにログインするか、アプリからログインして残高を提示することになります。通帳を記帳しにいってもいいでしょう。

見せ方のルールは夫婦ごとに決めればいいと思います。履歴を残していくかはそれぞれの好みに応じて設定してください。ある夫婦は、簡単なエクセルシートを作って横軸を各年とし、縦軸に夫婦それぞれの「今年の年収」「貯蓄目標額(ないし率)」「昨年末貯蓄額」「今年末貯蓄額」「今年の貯蓄額」「今年の貯蓄率」をそれぞれ一列ずつ記入するような簡単な財産簿を作っています。

投資をしている場合は、口座の内訳を作って「銀行口座残高」「銀行口座への積立額」「証券口座残高」「証券口座への積立額」をさらにわけてもいいでしょう。

なお証券口座やNISA、iDeCoを使っている場合は、それぞれのサービスにログインすることで残高確認ができます。