<strong>相場康則 サントリー酒類社長</strong>●1949年5月24日生まれ。慶應義塾大学商学部卒。74年4月サントリー入社。87年3月洋酒事業部課長。94年3月ビール事業部営業部長。2000年3月ビール事業部長。04年9月首都圏営業本部長。07年3月常務。08年3月ビール事業部プレミアム戦略部長。09年4月サントリーHD常務、サントリー酒類社長。就任以来、ハイボールの販売も絶好調。
相場康則 サントリー酒類社長●1949年5月24日生まれ。慶應義塾大学商学部卒。74年4月サントリー入社。87年3月洋酒事業部課長。94年3月ビール事業部営業部長。2000年3月ビール事業部長。04年9月首都圏営業本部長。07年3月常務。08年3月ビール事業部プレミアム戦略部長。09年4月サントリーHD常務、サントリー酒類社長。就任以来、ハイボールの販売も絶好調。

「伸びている市場に集中した」

そう語る相場康則社長。戦略が明快である。

「第三のビールとプレミアムビールの市場に商品を絞り込む。金麦とザ・プレミアム・モルツです。これを二大大黒柱と言っています」

今年のビール類の目標は6000万ケース。そのうちプレモルが1500万ケース、金麦が2000万ケースを占めるという。

サントリーにはビールの人気ブランド「モルツ」があるが、数年前に思い切ってプレモル重視に舵を切った。

「絞り込んだほうが営業もモチベーションが上がる。あれも売れ、これも売れというのでは、得意先も戸惑います。たとえばコンビニの棚なんて狭いし、こちらで絞り込んで情熱を持って商談しなければ置いてもらえません。営業だけでなく、宣伝もマーケティング活動も絞り込んでいくことができます」

ブランドを絞り込むことで、生産コストも下げることができる。的を射た戦略だった。一昨年、赤字続きだったビール事業が黒字に転じた。二大ブランドに力があるからこそだ。

伸びている市場に注力することは、裏を返せば芳しくない市場での勝負を避けることでもある。

第三のビールの好調の陰でビールの売り上げが伸び悩んでいる。アサヒのスーパードライ、キリンの一番搾り、ラガー、サッポロの黒ラベルといったブランドがひしめくビール市場では、戦い甲斐がないとの判断である。特に王者スーパードライとの戦いを避けた。これが奏功した。

プレミアム市場の相手はサッポロのヱビス。第三のビール〈麦ジャンル〉の相手はアサヒのクリアアサヒ、サッポロの麦とホップ。この戦いは十分に勝算があると相場は見たのである。