2018年8月、国内大手の日本水産が、さば料理専門店を運営するベンチャー企業「鯖や」との提携を発表した。鯖やは、鯖の養殖から卸売、飲食店経営を一貫して行っているという。果たして経営者はどのような人物なのか――。東京・代官山のお店を訪ねた。
鯖や 社長の右田孝宣氏とジャーナリストの田原総一朗氏

和菓子店に双子で生まれ“小ヤンキー”に

【田原】右田さんは大阪生まれ。子どものころは体が弱かったそうですね。

【右田】小児ぜんそくでした。小学校と中学校のころが一番酷くて、入院も複数回しています。でも、体を動かすことは好きでした。僕は双子の兄で、小さなころから弟と2人で“悪さ”ばかりしていました。詳しくは話せないくらい……。

【田原】危ない遊びをしてたわけね。何が面白かったんだろう?

【右田】やってはいけないことをやってるというスリルですかね。

【田原】気持ちはわかります。僕もいまだにスリルが好き。タブーを無視して言いたいことを言い、権力者がワーッと文句を言ってくるのが面白い(笑)。それはともかく、勉強は嫌いだった?

【右田】成績は悪かったです。うちは家業が和菓子店で親は忙しく、いい意味でほったらかし。勉強しろと言われたことはなく、自由奔放に育ちました。

【田原】勉強しないで、学校には何をしに行ってたの?

【右田】中学生のころは、学校には毎日行くのに授業には出ない“小ヤンキー”になっていました。

【田原】小ヤンキー? なんですか、それは?

【右田】ヤンキーになりきれないヤンキーです。夜遊びはするけど、夜はきちんと家に帰るし、喧嘩はするけど人は殴らない。中途半端なヤンキーです。いま振り返ると、粋がりたかったんでしょうね。中学くらいまでは、とにかく目立つことをして友達に認められたかったんだと思います。