内定をエサに無理難題を強制、どう対処すべきか

内定のかわりに他社の選考を辞退させる「オワハラ」、圧迫面接や内定取り消しなども、立派な労働問題です。

採用期間の短縮で表面化する「オワハラ」、密室で行われるからこそ就活生が弱い立場に。

労働組合法でいう「労働者」には、就活中の学生のようなこれから働こうという人やアルバイトの人も含まれています。

そのような問題を抱えたとき、真っ先に頼るべきは通常の会社員と同じく、労働組合です。弁護士に相談することも選択肢のひとつですし、最近では労働基準監督署も相談を受け付けています。また、相談窓口としては、県庁や都庁の労働相談窓口もあります。東京都であれば、労働相談情報センターが池袋や飯田橋、八王子などにあります。

面接や内定の面談などで行われるオワハラなどの対策として、やり取りをスマホやICレコーダーなどで録音しておくのもいいでしょう。証拠を残すことは、一般的な労働問題のパワハラやセクハラでも使う方法で、違法ではありません。

内定取り消しの場合も、法的に十分戦えます。内定通知書があって内定の事実を立証できれば、解雇と同様の効力があります。よくある「業績悪化のため」というのも、会社の経営者の責任になりますので正当な理由にはなりません。

通知が口頭だった場合でも、採用権限がある人事部の部課長クラスが内定を約束したことを立証できれば内定は成立します。その場合にはメールなどで通知をもらえれば万全です。

会社とのやり取りをレコーダーで録音、証拠を残せばOK
棗 一郎
弁護士
旬報法律事務所所属。日本労働弁護団幹事長。1961年、長崎県生まれ。中央大学法学部卒。日本マクドナルド店長残業代請求事件などを担当。
 
(構成=伊藤達也 撮影=花村謙太朗)
【関連記事】
夫が"がんで休職"したら即もらうべきお金
結局会社員は"今の会社で頑張る"べき理由
「客室乗務員」の就職人気が下がった理由
新人よりセクハラ部長を守った社長の後悔
履歴書から応募者の人となりを見抜くコツ