いま営業現場で成績を残すのは「口数が少ない内向的なタイプ」だという。どうやって商品を売っているのか。サイレンスセールストレーナーの渡瀬謙氏は「無理に話しかけても警戒されるだけ。過去→現在→未来の順で質問するといい」とアドバイスする。「プレジデント」(2018年12月17日号)の特集「話がうまい人入門!」より、記事の一部をお届けします――。

一向に上向かない消費マインドに加え、インターネットの普及でいつでもどこでも商品の性能、価格を比較でき、クリックひとつで購入できる時代。営業マンを取り巻く環境は厳しい。しかも、振り込め詐欺など悪質セールスは相変わらず横行し、見知らぬ営業マンに対する警戒感は高まるばかりだ。

写真=iStock.com/kazoka30

一方、企業はといえば生産性を上げるために管理部門を削減して営業部門に配置転換し、営業力強化を図ろうとしている。結果、自分は営業職に向いていないと思っている人が営業のフィールドに立つことになる。

立ちはだかる客との間の高い壁。営業回りをしても伸びない成績。やはり自分は営業に向いていないと溜まるストレス。

営業マンというと、バイタリティあふれる行動力とタフな交渉力、立て板に水のトークで契約を取る、外向的でエネルギッシュなイメージがある。

「自分をそちらにシフトしなくてはと間違った努力をしている人が多い。上司の指導も『俺が若い頃は~』となりがちですが、もはやそういう時代ではありません。むしろ言葉数が少ない、内向的な営業マンのほうが成績を残せる時代です」

と語るのは営業マン教育トレーナーの渡瀬謙さん。

「お客様の立場になれば、見知らぬ人が話しかけてきたら、警戒するのは当然のこと。初対面の人をオープンに受け入れる人はまずいません。ボクシングでいえば、完全にガードした状態です」(渡瀬さん、以下同)

もともと口下手な人がいくらセールストークの練習をしても、やはりどこかに無理が表れる。「この人、無理している」と思われたとたん「この人の素ではない」「嘘をついている」と警戒は深まる。

「内向的な性格は決して欠点ではなく長所がたくさんあります。口下手でも言葉を選びながらゆっくり話せばいいし、話すのが苦手でも、売るのが上手であればいいのです。まずは自信を持ってください」