──2018年9月某日、都内某所。就活生が一番気になる採用現場の本音を聞くため、有名企業3社の採用担当者に覆面姿で集まってもらった。

超売り手市場。学生の印象は変わりましたか?

【ベンチャー】情報収集の仕方がまるで違う。僕らが大学に入った頃のSNSはミクシィぐらいしかなかったが、今はフェイスブックもあればツイッターもある。それらを駆使して能動的に就活している学生が多い。一方、昔ながらのサークルやっていました、部活でがんばりましたとアピールする学生もいるけど、これだけ情報ツールがある時代にそれだけでは就活を勝ち抜くのは正直厳しい。

ベンチャー●大規模ベンチャー企業の採用マネジャー。採用、研修、人事企画などを幅広く務める人事のスペシャリスト。

【IT】「売り手」と聞くと、楽に採用してもらえそうに感じるけど実際は違う。情報が取得しやすくなって物事が成功しやすい近道もどんどん生まれている。面接でプログラミングに挑戦したいと言う学生がいるが、今はウェブで簡単に習得できるのになぜやっていないのか。採用基準のレベルは上がっている。今だったら僕なんか採用されないし、あの頃でよかったと思う(笑)。

【メーカー】そう、学生の二極化が進んでいる。情報を駆使してアクティブに活動する層がどんどん増え、採用基準のレベルが上がっているのは実感する。我々はトップ層の学生よりもその下の中堅層を採ろうとしているけど、以前は中堅層の中でもトップと真ん中、その下と3つに分散していた。でも今はほとんど下のほうに寄っちゃって、上位層の学生とのレベル差がものすごく開いている。

【ベンチャー】結局、上位層の取り合いが企業の間で激しくなっている。

【メーカー】「学生時代をどう過ごしてきたの?」という質問をしても、上位層とその下の層では経験の幅のレベルがまるで違うし、話の中身にしても差が広がっているね。

学生の働き方の意識に変化はありますか?

【IT】こちらが副業OKを謳っていることもあるけど、学生時代からやっていることを続けながら働きたいと言ってくる学生もいる。「今の研究を続けたいので週5日で働かなくてもいいですか」という交渉をしてくる。それくらい素直に言ってくれたほうがいいけどね。