TOEICの点数を上げるには、どんな学習が有効なのか。今回、6つのレベル別に「最短ルート」を識者に聞いた。第2回は「400点台」の学び方について――。

※本稿は、「プレジデント」(2017年4月17日号)の掲載記事を再編集したものです。

リーディングは後回しに

もともと英語は大の苦手だったという鹿野晴夫氏だが、TOEICは335点からスタートし、独学で980点へと飛躍を遂げた経験の持ち主である。とりわけ800点台までは、3年余りで到達したというから、その学習理論が企業のビジネスパーソンたちから注目されるのも、当然のことだろう。

400点台の人が、スコアを伸ばしていくためにはどうすればいいか。カギは「リスニング」にあると鹿野氏は解説する。鹿野氏の分析によれば、TOEICの問題は、高校1年生レベルの語彙・文法の知識があれば600点に達することができる。

「TOEICはリーディングよりもリスニングの英文のほうがやさしいのが特徴で、リスニングに限れば、出題される単語の90%は中学3年生までの単語。先にリーディングから学習しようとすると、難しい単語が並んで出鼻を挫かれるかもしれませんが、リスニングは問題の英文を確認すると、案外今ある知識で対応できることがわかります」

では、なぜ聞き取れないか。それは、英語の「音法」をよく理解していないから。

「音法とは、ネーティブが自然な速さで話す際に起こる、音の変化の法則です。代表的な音法には2つあります。ひとつは“リエゾン(連結)”。子音で終わる単語と母音で始まる単語がつながったときに起こりやすい現象です。例えば「Take it」は、最後の「ke」と最初の「i」がつながってローマ字読みのように「キ」に変化し、「テイク・イット」ではなく「テイキット」と発音されます。もうひとつは“リダクション(消音化)”で、単語の最後が子音、次の単語の最初も子音という組み合わせのときは、最初の子音は発音するときに消えてしまうことが多い。例えば「get there」は、「ゲット・ゼア」ではなく「ゲッゼア」となる。

初めのうちは、音声を聞きながら、リエゾンやリダクションが起こる箇所に○や( )で印をつけてみるとわかりやすいでしょう」