4Kテレビだけでは「4K放送」は見られない

12月1日から4Kテレビ放送が開始される。4Kテレビとは、現在主流のフルハイビジョンの4倍、つまり水平画素が3840(約4000)のテレビである。1000は1K(キロ)という単位で表されるため、4Kと呼ばれている。なお、12月からはより解像度が高い8K放送も開始される。当然のことながら、8Kテレビの価格は4Kテレビよりも高い。

2017年12月1日、実用放送開始まで1年となり行われた新4K8K衛星放送開始1年前セレモニー。中央は推進キャラクターに任命された女優の深田恭子さん、右隣は野田聖子総務相(当時)(写真=時事通信フォト)

大手家電量販店のテレビコーナーに行くと、多くの4Kテレビが陳列されている。自宅にある従来型の液晶テレビに比べ、確かに画像はきれいだと思う。ただ、実際に4K放送を視聴するためには、手間とコストがかかる。4K放送を視聴するためには、4K放送に対応したチューナー(受信機)を別途購入し、テレビに接続しなければならない。4Kテレビを買えば、放送開始と同時に4K映像を楽しむことができるわけではないのである。

そうした手間を考えると、4Kテレビ放送の開始を受けて新しいテレビがどうしても欲しいという思いは低下してしまう。筆者のように思う人は少なくないだろう。また、時間がたてば、より新しい機能を搭載し、より安いテレビが市場に投入されるだろう。そう考えると、現時点で購入する気持ちは高まりづらい。

88.8%の人が4K放送を「知っている」と答えたが……

一般社団法人放送サービス高度化推進協会(以下、高度化推進協会)によると4K放送を行う事業者は、NHK、ビーエス朝日、BSジャパン、BS‐TBS、BS日本、ビーエスフジ、SCサテライト放送、QVCサテライト、東北新社メディアサービス、WOWOWの計10社の予定だ。

一般社団法人放送サービス高度化推進協会(A‐PAB)「4K・8K市場調査結果まとめ」より

4K放送を視聴したいという消費者の関心は、どちらかといえば高まりづらい状況にあるようだ。2016年9月~2018年9月にかけて高度化推進協会が行った4K放送の市場調査を見るとそれが良くわかる。この調査はWeb経由で行われた。調査対象エリアは全国、対象者は20歳~69歳の男女、調査数(サンプル数、アンケートに答えた人の数)は5000人(2017年は6000)人である。サンプル数は少ないように見えるが、被験者の属性(年齢や性別、居住場所など)の点では、バランスの取れた調査といえるだろう。

2018年2月調査の結果を見ると、62.4%が4K放送を「知っている」と答えた。加えて、26.4%が4K放送を「知っているような気がする」と答えている。合計すると88.8%の人が4K放送を知っている(認知している)。