なぜANAが宇宙関連事業に手を広げようとしているのか

ANAホールディングスは宇宙航空研究開発機構(JAXA)などと提携して、宇宙関連事業に進出し始めた。同社は事業会社の設立を視野に入れており、宇宙ステーションや月、火星などにロボットを配置し、地球から遠隔操作して疑似的な宇宙観光を体験できるような仕組みを構築するという。宇宙飛行機開発スタートアップのPDエアロスペースにも出資している。

写真=iStock.com/Polina Shuvaeva

なぜANAが宇宙関連事業に手を広げようとしているのか。それは将来に向けた“ビジネスの種まき”にほかならない。

2019年には成田国際空港、2020年には羽田空港で、それぞれ発着枠の拡大による増便を予定している。訪日外国人の増加などによる国際線のニーズは高まり続けており、国内線も国内旅行ブームが高まるなど堅調に成長している。向こう5年の成長戦略は本業の航空事業でしっかり描ける一方、変化の激しい現代において、10年後、20年後にどうなるかは誰にも予想できない。

将来的に航空事業のマーケットが成熟化し、横ばいもしくは縮小するようなことになったときに、支えとなりうる他事業を経営が盤石な今のうちに見つけておきたい。その1つが宇宙関連事業というわけだ。