6人に1人が貧困といわれるこの時代。貧困家庭に生まれた子がまた貧困に陥る世代間連鎖も大きな問題だ。どうすればそこから脱出できるのか。自らも貧困家庭から抜け出し、翻訳家・著述家として活躍するタカ大丸氏は、「狙い目の仕事」を徹底調査した。その結果、「文句なしにおすすめなのは大相撲」という。その理由とは――。

※本稿は、タカ大丸著『貧困脱出マニュアル』(飛鳥新社)の一部を再編集したものです。

日本相撲協会は借入金のない優良法人。ゼロからでもプロ選手になれ、待遇も手厚い ※写真はイメージです(写真=denkei/PIXTA)

「日本出身者はただの肥満かそれ以下しかいない」

相撲部屋の稽古を見学したことがある人はどれくらいいるだろうか。実は、相撲の稽古は本場所中でなければ簡単に見学することができる。そして、一度でも稽古を見学すれば、なぜ稀勢の里が出てくるまで長年日本出身の横綱が出てこなかったのか一目でわかる。

一言でいえば、「海外からはアスリートが来ているが、日本出身者はただの肥満かそれ以下しかいないから」である。

動かぬ証拠がある。式秀部屋の公式ツイッターアカウントにある募集要項である。

「式秀部屋では新弟子を随時募集しています。中卒以上23歳未満の身長167cm体重67kg以上(3月は中3のみ165cm 65kg以上)が合格基準です。相撲経験の有無は不問です。力士になりたい方、興味がある方はお電話かDMにてお気軽にご連絡ください」(2017年5月17日)

「随時」ということは、つまり「いつでもOK」ということである。半年にふたりずつ、年に4人しかなれない将棋のプロ棋士からすると「ふざけるな」という話である。中学3年で165cmの基準なら大部分の男子中学生がクリアできるのではないか。さらに次の一文が重要である。

「相撲経験の有無は不問です」

つまり相撲をやったことがなくても新弟子になれるというのである。サッカーをやったことがないJリーガーなど絶対にいるわけがない。私が知る限り、野球経験がないのにプロ野球選手になれたのは東京五輪100メートル走代表の飯島秀雄氏だけだ。これだって、五輪代表選手で代走専門という特別の条件があったから実現した話である。プロになるのにここまで敷居が低い競技がほかにあるはずがない。

また、友綱部屋はウェブサイトでもこう謳っている。

「一流企業でもリストラを繰り返しており自主再建できなくなった企業もたくさんある中、日本相撲協会は借入金のない優良法人です。力士は社員採用ではありませんが、ゼロからでもプロスポーツ選手になれるのは相撲だけです」