民主党の小沢一郎元代表がついに菅政権打倒に動いたが、小沢氏の足元も揺れている。自身の政治資金管理団体「陸山会」の土地購入がらみの政治資金規正法違反(虚偽記載)で強制起訴されたが、先行して始まった石川知裕元秘書らの初公判で注目すべき証言が飛び出したのだ。

陸山会は2004年に東京・世田谷区深沢に約3億5000万円の土地を購入したが、小沢氏は石川被告ら元秘書3人と共謀して04年分の政治資金収支報告書に記載せず、05年分に記載したとして強制起訴された。小沢氏側は起訴前、銀行から借りた4億円で購入したと説明したが、銀行融資を受ける前に土地代金の支払いが済んでいたことが判明すると、小沢氏が個人的に蓄えていた4億円で買ったと説明を変更した。

石川被告は東京地検特捜部の捜査段階での取り調べで、小沢氏の4億円を「表に出すのはまずいカネ」と思い、「原資を隠すために偽装工作をした」と供述したとされ、検察側は小沢氏の4億円の中に中堅建設会社、水谷建設からの裏金が含まれている疑いがあるとして裁判で争う構えだ(被告側は「検事に誘導された」として供述の信用性を争う方針)。

4億円について小沢氏は、起訴前の会見時に配布した資料で、父親から相続した文京区の自宅売却代金の残金2億円、家族名義の口座から引き出した3億円、02年4月に家族名義の口座から引き出した6000万円が原資だと説明した。

ところが家族名義の6000万円について2月8日の石川被告らの初公判で信託銀行関係者が注目すべき証言を行った。証言によると、6000万円は確かに02年4月に信託銀行の家族名義の口座から引き降ろされたが、小沢夫人は払い戻しに際し「自宅に迎賓館をつくるために必要」と説明したというのだ。

「問題は、6000万円を降ろした02年暮れ、夫人は世田谷の小沢邸の敷地内に2階建ての建物と車庫を実際に新築したのです。つまり6000万円はこの時点で使われてしまい、小沢氏側の購入原資に含まれなかった可能性が出てきた。和子夫人が建てた建物は今年元日の小沢邸での新年会会場として使われました」(小沢裁判に詳しいジャーナリスト)

政局も小沢裁判も波乱含みだ。