多くのファンを集める「ユーチューバー」の共通点はなにか。それは毎日のように動画を上げつづけることだ。著名経営者にも同じことがいえる。SNSで日常的に情報発信を行うサイバーエージェントの藤田晋社長は「若い経営者や、これから名を上げたい人は、どんどん発信をしないといけない」と話す。藤田社長が「炎上」のリスクを顧みず、発信を続ける狙いとは――。
サイバーエージェントの藤田晋社長(撮影=砂流恵介)

発信をしないと影響力を持てない

自ら動画を作成して配信を続ける「YouTuber(ユーチューバー)」。彼らは積極的に情報発信を続けることで、多くのファンを集めてきた。同じようにSNSやメディアで自らの意見を積極的に発信することで、多くのファンやフォロワーをもつ経営者やビジネスマンが増えている。その1人、サイバーエージェントの藤田晋社長はこう話す。

「発信をしないと影響力を持てない。それはもう間違いないので、基本的には若い経営者や、これから名を上げたい人は、どんどん発信をしないといけないと思います」

藤田社長は自社のブログサービス「Ameba」だけでなく、各種のSNS、新聞や雑誌などのマスメディアなど、さまざまな場所で積極的な情報発信を続けている。そのメッセージは鋭く、時に反発を招くこともある。

「退職者批判コラム」を書いたワケ

藤田社長は2014年、日本経済新聞電子版の連載コラムで「私が退職希望者に『激怒』した理由」という記事を寄せた。競合他社に移った社員に激怒したという内容で、藤田社長は「会社としての価値観や姿勢を見せるための『一罰百戒』は、経営していく上で必要なことだ」と書いた。

これに対し、「辞めるのはその人の自由ではないか」などと、大きな批判が巻き起こった。その中には「ネットでの『炎上』を意図したのではないか」というものもあった。当時の騒動について、藤田社長は「社内の意思を統一するという意味では狙い通りだった」と振り返る。

「活躍している社員がサッと辞めて会社が何も言わないと、『(簡単に辞めても)OKなんだ』ということになる。会社としてそれを『駄目だ』という権利がないのは理解した上で、『身勝手に急に転職することを快く思っていない』とは言わないといけない。社内で(『激怒している』と)うわさを広めるような手段でもいいのですが、外部に一度発信すれば済むことです。あのエントリーに関しては批判している人も数多くいましたが、『広める』という意味では狙い通りです」