幸せな家庭を襲う病気や介護。突然の大出費をサポートする制度を適切に使いこなし、必要なお金を必要なときに得るためのポイントを専門家に聞いた。
病気編
黒田尚子

制度は豊富にあり。見逃さずに申請を

病気やケガをしたとき、治療やそれに伴う痛みへの不安はもちろんのこと、同時に頭をもたげてくるのはお金のこと。万一の医療費や療養中の生活費は、病気にまつわる心配事の上位にあがってきます。病気やケガをすると経済的リスクが発生するのは事実です。でも、日本には、それをカバーできるさまざまな公的保障があることをご存じでしょうか。

たとえば、医療費が高額になったら健康保険の「高額療養費」、障害が残ったら年金保険の「障害年金」がもらえるほか、雇用保険や福祉サービスにも病気やケガによる経済的負担を軽くできる制度があります。

とはいえ、これらは病気になればいつでも自由に使えるわけではなく、利用できる期間や障害の状態が決まっています。どのタイミングでどんな制度を使えるかを知っておかないと、せっかくの制度も使えるチャンスをみすみす逃すことに……。

そんな失敗をしないように、ここでは病気やケガをしたときに「もらえるお金」を、病気の発症から進行していく過程に合わせて時系列で確認していきましょう。

公的な備えとして、公的年金、健康保険、介護保険、雇用保険などの制度がある。加えて、民間の備えである生命保険、がん保険、年金保険、住宅ローン付帯の保険などで補えば、経済的な不安はより軽減される。