役に立つ人脈をつくるにはどうすればいいのか。異業種交流会に通い、多くの人と名刺を交換し、SNSの友達の数を増やす……。こんなイメージを持っている人は要注意だ。経営コンサルタントで「人脈の達人」と呼ばれる平野敦士カール氏は、「異業種交流会で知り合った人は『人脈』とは呼ばない。資産となる人脈をつくるなら、他社の人をランチに誘うべきだ」という。なぜなのか――。

※本稿は、平野敦士カール『世界のトップスクールだけで教えられている 最強の人脈術』(KADOKAWA)を再構成したものです。

人生100年時代の資産は「人脈」

いまや「人生100年時代」という言葉は、人生戦略を考えるうえでのキーワードとなりました。そこで最も頼りにすべき「資産」とは何でしょうか? お金でしょうか? それともいま流行りのビットコインをはじめとする仮想通貨でしょうか?

※写真はイメージです(写真=iStock.com/PeopleImages)

そうした質問を受けたとき、間髪を入れずに私はこう答えます。

「人脈ネットワークこそ、最強の『資産』である」

人脈? 唐突にいわれても……と感じるかもしれません。日本で「人脈」という言葉が使われるとき、ともすればネガティブなイメージが伴うからです。

「人脈をつくるためには、頑張って異業種交流会に出なければならない」「自分の名刺をいろいろな人と交換しなければならない」「SNSの友だちの数を増やさなければならない」……。そうした行動には「根性」という言葉が似合いますし、著名人と写真を一緒に撮ってSNSにアップすることで自分の「人脈」をアピールする人たちを見て、何ともいえない気分になった方もいることでしょう。

「人脈もどき」は資産ではない

そうしたものを私は「人脈」とは呼びません。そのような「人脈もどき」の多くは、「資産」ではないからです。私が資産という言葉を使うとき、それは「ビジネス上の価値を生み出すもの」という意味をもっています。

この資産としての「人脈」のすごいところは、税金がまったくかからないことです。「人脈ネットワーク」はモノではありませんから、目には見えません。目に見えないものは課税のしようがありませんね? 通常の資産は他の会社や人によって奪われることがありますが、この人脈ネットワークをあなたから奪うことは誰もできないのです。

そして、こうした「人脈」が最強の資産となることは、すでに世界のトップスクールの学者のネットワーク分析という科学的な理論によって証明されています。『世界のトップスクールで教えられている 最強の人脈術』(KADOKAWA)では、そうした世界最先端の理論を一挙に紹介しながら、それを個人はどうやって活用すればいいのか、という方法論を述べています。この理論から導かれる人脈術の最大の特徴は、その人がいま「人気者かどうか」「知り合いがたくさんいるかどうか」という個人の属性を問わないことです。本稿では具体的にネットワーク分析(理論)とはどのようなものか、ということについて、実例をあげながらその一端をお伝えしていきましょう。