毎日多忙なビジネスパーソンにとって英語習得のための留学は夢のまた夢──。そう思っている人がきっと多いはず。しかし、2週間の「プチ留学」でも確実に英語力はアップするのだ。

学生ビザ不要で、トロントが人気

ビジネスパーソンの語学熱が高まる中、生きた英語を身につけようと、海外に短期留学する人が急増している。そうした留学先として、根強い人気を誇るのが、米国や英国といった欧米の英語圏だ。本場で英語力を磨けるうえ、治安も比較的よい。とりわけ、「観光や異文化体験もしたい」という女性からの支持が高いようだ。

1971年創業の留学支援会社の老舗で、2003年にイーオングループとなった留学ジャーナルは、延べ20万人の留学をサポートしてきたが、近年ではビジネスパーソンの顧客も徐々に増えている。「職場で英語を使う機会が増えたからと、個人で短期留学を申し込む方も多いですね。女性の場合、転職を機に留学するケースが目立ちますが、在職中の方の短期留学も増えています」と、同社カウンセラーの祭主絢子さんは話す。

留学期間は1週間というケースが最も多く、30代の40%、40代の54%を占める。また、留学するタイミングも、長めの休みが取りやすいゴールデンウイークやお盆の時季に集中する。

欧米の留学先として一番人気なのは、トロントをはじめとするカナダ。「米国は留学のハードルが高く、同じ北米圏のカナダに人気が移っています」(祭主さん)。米国留学で週18時間以上勉強する場合、学生(F1)ビザの取得が必要だ。英文の大学の成績証明書、銀行の残高証明書を用意して、米国大使館・領事館で面接も受けなければならない。手続きに2カ月半はかかり、多忙なビジネスパーソンにとって負担は大きい。

カナダ留学では、そのような面倒な手続きは不要で、留学費用も米国より割安。同社が提携している世界的な語学学校のECでは、1週間・30レッスンの料金がニューヨーク校は25万6000円なのに対して、トロント校は17万4000円と割安なのも魅力だ。

留学費用がリーズナブルという点では、オーストラリアも人気。日本との時差もあまりない。「日本が夏のとき、オーストラリアは冬なのですが、北部のケアンズなら年中暖かく、夏休みを利用した留学も可能です」(祭主さん)。

欧州の留学先としてブレークしているのがマルタだ。イタリア半島の南部、地中海の小さな島国で、元英国領という英語圏。ECの発祥の地で、語学学校も多い。首都が世界遺産で、日本人が少ない穴場というのも魅力だ。