2017年にリリースを開始した訪日外国人向けアプリ「WAmazing」。香港や台湾を中心にユーザーを増やし、これまでに17万人が利用しているという。リクルートを辞め、40代で起業した女性社長が目指す未来とは――。

リクルートで地方創生に挑戦

【田原】加藤さんは慶應義塾大学を卒業してリクルートに入社された。どうしてリクルートに?

【加藤】当時の就職活動は就活本を買って業界研究するのが普通で、そこで目についたのがリクルートでした。広告業界の本にも載っていたし、通信業界とか、出版業界の本にも載っていて、一体この会社は何だろうと。振り返ると、私が卒業した慶應の湘南藤沢キャンパスも、総合政策学部や環境情報学部など、名前だけではよくわからない学部がありました。昔から枠にはまらないものに心惹かれるのかもしれません(笑)。

【田原】リクルートではどんなお仕事をされたのですか?

【加藤】新規事業の立ち上げばかりやっていました。最初にやったのは、雑誌「じゃらん」のインターネット版です。

【田原】「じゃらん」はどういう雑誌?

【加藤】いわゆるリクルートの得意な、広告をコンテンツとした旅行雑誌です。ジャンルが旅行なので、ホテルや旅館から1コマいくらで広告を取ってきて、それを並べて見せる。私が担当したのは、それをインターネット化する事業です。リアルタイムにホテルの空き室が見られて、予約が取れる「じゃらんnet」というサービスを立ち上げました。

【田原】それから?

【加藤】フリーペーパーの「ホットペッパー」や結婚情報誌「ゼクシィ」をインターネット化しました。「じゃらん」も含めて、リクルート時代の最初の10年は紙をネットに置き換える事業です。それぞれ充実していましたが、ビジネスを一企業の枠でやるのに少し飽きも感じていました。なので、後半は中長期的に社会に貢献できるような事業をやりたいなと。