「不倫をした直後に、発覚するケースが増えている」。行政書士・男女問題研究家として男女トラブルの相談を受けている露木幸彦氏はそう話します。露木氏によれば「いまは8月の相談が最多。5年前まで10月の相談が最多だったが、『即バレ』が増えたことで8月に前倒しされた」。「即バレ」の背景にあるのはSNSの普及です。8つの実例を紹介しましょう――。(後編、全2回)

カーナビ履歴に「不倫相手の女」の自宅住所を残すバカ夫

この5年で生活スタイルは一変しました。いまや誰もが、スマートフォンを持ち、SNSを利用しているはずです。それは不倫も同じです。不倫相手とのやり取りは、SNSに保存されるようになり、それは動かぬ証拠となります。そんな「SNS不倫」について8つの相談実例を、前編につづいてご紹介しましょう。

【“SNS不倫”5:略奪愛願望の女性が繰り出したフェイスブック・テロ】

比嘉香苗(仮名・42歳)さんと夫(38歳)の間には中学生の娘がいます。そんな娘が多感な思春期の折も折、夫の不倫が発覚しました。こっそり夫のスマホを覗くと、女性とLINEでやりとりしていたのです。その文面を見ると、夫の不倫相手は危険極まりない女性であるように思われました。あまりにも略奪愛の願望が強く、それを実現するためには何でもする。そんな雰囲気が漂っていたのです。

この女性は、香苗さんが夫と離婚しないことに業を煮やしたのか。フェイスブックを使って嫌がらせを始めました。標的になったのは、娘でした。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/chabybucko)

娘のフェイスブックのアカウントを調べ、ある日、友達申請をしてきたのです。もちろん娘はその女性を知らなかったのですが、ITリテラシーがなかったからか、何気なく友達申請を承諾してしまったようです。その後、女性は娘が投稿した写真に「いいね!」を押すなどして仲良くなった後、こんなメッセージを送り付けてきたのです。

「パパと付き合ってるの。パパはママと離婚して私と一緒になるの」

香苗さん本人ならともかく娘を巻き込み、傷つけ、攻撃してくるのは卑劣としか言いようがありません。怒りが頂点に達した香苗さんはある日、夫と女性がデートしている現場に怒鳴り込みました。「何やっているのよ!」。2人は言い争いから、胸ぐらをつかみ合うことになり、警察を呼ぶ事態になりました。

これで女性の行動も少しはおとなしくなるかと思いきや、警察署から自宅に戻ってきた香苗さんがフェイスブックを開くと、女性が香苗さんのページにこんな書き込みをしていたのです。

「今どんな気持ち?」

フェイスブックの近況アップデートの入力欄には、「今どんな気持ち?」と投稿をうながすメッセージが表示されています。同じフレーズを書き込むことで、香苗さんを挑発する意図があったのでしょう。

香苗さんは女性の存在が心底恐ろしくなり、娘とともに実家に戻りました。離婚を考えていますが、まだ決断をできずにいます。しばらくは女性の「フェイスブック・テロ」にビクビクと怯える日々を送ることになりそうです。

【“SNS不倫”6:「メールも電話もしない」と誓い、裏切った夫】

夫(42歳)の不倫が発覚した金城里子さん(仮名・38歳)は、ひとり息子(6歳)のために離婚を思いとどまっていました。夫は謝罪し、「メールもしない。電話もしない」と約束したので、それを信じることにしたのです。

しかし、不倫発覚から1カ月後。夫は不倫相手と復縁していたことが明らかになったのです。夫の車のカーナビをチェックしたところ、目的地が見知らぬ人家に設定されており、問い詰めると「不倫相手の家」だと認めました。

そして夫はこう言い放って、開き直ったそうです。

「電話もメールもしていない。約束は守ったじゃないか!」

里子さんは一瞬、夫が何を言っているのかわからなかったのですが、夫のスマホを取り上げてチェックすると、カラクリにすぐ気付いたそうです。確かに、夫は不倫相手に電話もメールもしていませんでした。しかし、フェイスブックやLINEでやりとりを続けていたのです。まるで「子供だまし」のような手口に里子さんはあきれ返り、離婚を決断しました。