シェア50%を維持できれば、2030年には500万台

スズキの2018年3月期決算は純利益が2157億円と、3年連続で過去最高を更新した。その原動力は、なんといっても好調なインド市場にある。同社の2030年に向けた事業構想では、インド市場は1000万台規模に突入すると想定しており、現在のシェア50%を維持できれば、スズキはインド1カ国で500万台という販売規模になるため、それに向けて施策を打っていくとしている。

写真=iStock.com/VasukiRao

壮大な話ではあるが、私は決して夢物語ではないと見ている。

確かにインド経済が現在の勢いのまま成長を続けるとは言い切れず、電気自動車(EV)や自動運転など、新しい技術革新の波も押し寄せてきている。そのなかでスズキがシェアを維持できる保証はどこにもない。

しかし、振り返れば2000年代にもいずれはトヨタ自動車など大手メーカーにインド市場は席捲されるだろうという見立ては強かったが、結果はそうはなっていない。それは、インドの車文化を築いてきたのはスズキであり、インド人に「車といえばマルチ(・スズキ)」と言われるほど現地に根を張ってきたからだ。これは一朝一夕に変わるものではない。