これからビジネスマンはどう変わるべきか。「プレジデント」(2018年4月30日号)では、特集「いる社員、いらない社員」で、大企業のトップ29人に「人材論」を聞いた。今回は、JTB グループ本社の高橋広行代表取締役社長のインタビューをお届けしよう――。

旅行業界最大手であるJTBが大きな経営改革に動き出している。2018年4月から地域子会社である15社を事業ごとに再編し本社に統合。併せて人材育成の強化も図る。業界にデジタル化とグローバル化がともに押し寄せる中、どのような人材を育成していくのか。人材を「人財」と表して重視するJTBの社長、高橋広行氏に話を聞いた。

ダイバーシティが旗印「女性管理職比率37%」

──4月から新体制が発足すると同時に「自律創造型社員」の育成を強化されます。具体的にはどのように人材育成を進められるのでしょうか。

JTB グループ本社 代表取締役社長 高橋広行氏

当社の最大の経営資源は人であり、「自律創造型社員」の育成はグループの責務です。すでに2013年に「JTBユニバーシティ」という教育のプラットフォームを設立し、コース別、目的別に研修を行っています。そのポイントは3つ。1つ目は高い専門性やスキルの取得。2つ目は目的達成意識の醸成。そして3つ目がお客様の課題解決に対応できる能力を身に付けることです。我々はこれから単に旅行を販売することから、旅行自体をお客様の課題解決の手段として捉え、旅行以外の価値も提供できる会社に生まれ変わっていく。その意味で今回の経営改革を「第三の創業」と位置づけており、その最大の肝が「人財」育成なのです。

──人材育成で重点化している部分はどこでしょうか。

まず変えなければならないのが社員の意識です。これを変えない限り、業態も変えられません。そのために全社員の意識を3つの行動指針で変えていこうと考えています。それが「CHALLENGE」「OPEN」「FUN」です。いわば、内向き志向や自前主義をやめ、外部と協業するとともに、仕事のやり方自体も大きく変えていく。そして、お客様を楽しませるための努力を徹底して行っていくということです。この意識改革はグローバルベースで行っていく方針です。我々はこれまでダイバーシティを旗印に、女性管理職比率を37%に高めてきました。そこから初の女性執行役員が誕生しましたが、今後は外国人役員の本社登用も進めていきたいと考えています。