丸の内や新橋、銀座の一部などのオフィス街も被害

西日本豪雨に山形豪雨と日本各地で大きな自然災害が相次いでいる。

とくに西日本豪雨では地盤の緩みによる土砂崩れや、河川の氾濫などで、死者が220人を超えるという甚大な被害を及ぼした。気象庁によると、長野、岐阜、徳島、高知各県の15地点で1000ミリ以上の降雨量が観測されており、広範囲にわたる豪雨が、被害を拡大させたとみられる。

もし、このレベルの豪雨が東京を襲ったら、一体どんなパニックが起きるのか。実は東京都は2018年に入ってから、過去最大規模の「スーパー台風」が上陸した場合に想定される浸水区域を発表している。それによると、東京23区の3割は浸水することになる。

東京都は2015年に改正された水防法に基づき、有識者による検討委員会でシミュレーションを実施し、高潮浸水想定区域図を作成した。

史上最大規模であった室戸台風(910ヘクトパスカル)と同等レベルの台風が東京都に上陸した想定でシミュレーションされた。室戸台風は1934年当時、約3000人の死者を出している。西日本豪雨は梅雨前線が西日本のほぼ同じ場所に、長くとどまった影響で同時多発的に被害をもたらしたが、室戸台風は移動しながら被害が広がった災害例だ。

都によると、この台風の高潮により、23区の3分の1、17区の約212平方キロメートルの浸水が想定される。その区域内の昼間人口は約395万人で、想定される最大の浸水の深さは約10メートルにもなる。排水が完了するには1週間ほど要する見込みだ。

とくに被害が大きいのは東部の荒川沿いの地域。墨田、葛飾、江戸川の3区では9割以上が浸水する。江東区でも6割以上が浸水するとみられる。また、丸の内や新橋、銀座の一部などのオフィス街も被害を受けるという。

都は浸水図の説明資料で「この高潮浸水想定区域図などを基に、高潮のハザードマップの作成に取り組み、住民が避難確保などを図れるようにしていきたい」と記述している。