20代の男女は恋愛についてどんな悩みを抱えているのか。博報堂生活総研がQ&Aサイト「OKWAVE(オウケイウェイヴ)」に投稿された5万件の「恋の悩み」を分析したところ、性別ではっきりと違いが出た。博報堂生活総研の酒井崇匡上席研究員は「男性が『やれたかも』という『可能性』に悩むのに対し、女性は『やってしまった』という『結果』に悩むという違いがある」と考察する――。

投稿された5万件の恋の悩みを分析

私たち博報堂生活総合研究所では日頃から、家庭訪問調査やデプスインタビューなど、リアル世界で生活者の欲求を深掘りする調査、エスノグラフィを行っています。一方で、生活者の声はウェブ上にも無数にあふれており、その中には匿名の世界でなければ現れないような声も多く含まれています。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/LuisPortugal)

エスノグラフィでは生活者が思わず発してしまった一言や何気ない行動から、大きなヒントを発見します。その視点を持ってデジタルデータを分析する、いわば「デジノグラフィ」を行うことで、これまで可視化されてこなかった生活者の心の奥にある願いや悩み、インサイトを見つけることができるのではないか? その試みに、日本初、最大級のQ&Aサイト「OKWAVE」を運営するオウケイウェイヴ開発本部の齊藤学シニアエンジニアにご協力いただくことができました。

私たちが今回、分析したのはオウケイウェイヴに投稿された5万件もの「恋の悩み」です。恋愛をテーマに選んだのは、これまでのエスノグラフィでは最も本音を引き出しにくいテーマの一つだからです。匿名性が担保されているネット空間上に存在する生活者の声から、深層意識を探求する挑戦です。

20代女性は男の2.4倍、恋に悩む

今回はオウケイウェイヴの「恋愛」カテゴリーの質問から、20代、40代、60代それぞれの男女が、年代ごとにどのような恋の悩みを抱えているのかを、テキストマイニングという手法で浮かび上がらせることにしました。

オウケイウェイヴに現在までに寄せられた質問は820万件で、それに対して約2800万件の回答がなされています。そのうち、恋愛カテゴリーの総質問数は直近5年間で約9万件。今回分析対象とした20、40、60代の質問が約5万件です。さらにそのうち20代は男性が1万2547件、女性が2万9751件、トータルで4万件超となっていました。

20代の質問投稿数でみると、女性は男性の2.4倍も質問している、ということになります。オウケイウェイヴユーザー全体の男女比はほぼ半々であることを考えると、それだけ女性のほうが恋愛の悩みを誰かに相談したいという欲求が強いことの現れでもあるでしょう。リアルでも女性は友だちに“恋バナ”をしていろいろな悩みや状況を吐き出すことで、それを浄化するようなところがありますが、ネットの世界でもその傾向は共通しているようです。

一方で、男性側も投稿する質問数は少ないものの、その内容を分析するとむしろ女性よりも悩みが深いような面も見えてきました。具体的な質問文中の頻出ワードの中から、男女それぞれに特徴的に出現するものを見ていきましょう。