入学の1年以上前から準備が必要

来年4月に必要となる、小学1年生のランドセル。いつまでに準備すればいいか、ご存じだろうか。

ランドセル商戦は年々早まっており、早いところでは今年1月からカタログを公開している。つまり入学の1年以上も前から、準備をしなければいけないのだ。しかも価格はかなり高い。平均価格は4万円を超え、人気ブランドでは7万円台にまで上昇している。この過熱ぶりから、「ラン活(ランドセル活動)」という言葉も登場した。

いったい何が起きているのか。今回は人気メーカーである土屋鞄製造所(以下、土屋鞄)に話を聞いた。過熱する商戦と消費者意識を探ってみたい。

「土屋鞄製造所 西新井本店」の様子。工房が併設されており、見学スペースから作業ぶりがうかがえる。

10年前の動き出しは「3カ月前」だった

「当社は1965年の創業時から、職人の手仕事でランドセルをつくっています。長年、家族経営の小さな会社でしたが、2000年以降はランドセルの需要増に伴い、事業が拡大。若手・中堅社員も増え、2015年に長野県に軽井澤工房、2017年には佐久工房を設立しました」

土屋鞄・広報担当の前田由夏さんと三角茜さんは、こう口をそろえる。話を聞いたのは、東京都足立区の本社だ。ここはランドセルの展示・販売と職人が作業する工房も兼ねている。店舗から工房での作業姿を確認することができ、いわば「製造の見える化」といえる。

「10年ほど前まで、ランドセルの購買需要は、その年の1月頃、つまり入学の3カ月前から動き出すのが普通でした。ところが5年ほど前から前年の8月頃に早まり、そして数年前からは入学1年前の前年4月頃となっています。私たちもそれに合わせて販売スケジュールを前倒ししているのが現状です」

土屋鞄では2019年入学用のランドセルについて、今年1月10日からカタログ請求受付を始めている。そして3月29日に商品の全ラインナップを公式サイトで発表。4月18日から店舗とオンラインショップで同時に注文受付を開始した。このスケジュールになった背景には、2016年の“事件”の影響がある。