東京から発想するだけでは、問題は解決できない。いまこそ地方の発想が必要だ。雑誌「プレジデント」(2018年4月30日号)では、地方から改革を進める4人の首長に、「いま必要な人材」について聞いた。第4回は岡山県の伊原木隆太知事。テーマは「アイデアと思い」だ――。(第4回、全4回)

※本稿は、雑誌「プレジデント」(2018年4月30日号)の掲載記事を再編集したものです。

知事に就任し観光予算を3倍以上に増額

「将来が不透明な時代だから県庁も今までの事業はきっちりやりつつも、可能性に挑戦することが大切です。当たりそうだと思えば投資も増やします」

岡山県の伊原木隆太知事の持論だ。可能性の一番手が観光産業。知事に就任し観光予算を3倍以上に増額した。

岡山を訪れた外国人の友人から「日本はエキゾチックと安全が両立する稀有な国。ふつうエキゾチックな国は危険だ」と言われ、観光の可能性に改めて気づかされたという。山陽新幹線の主要駅があり、四国や山陰を結ぶ交通の要。三大庭園の1つである後楽園や倉敷美観地区、備前焼など観光資源は豊富で、山の幸・海の幸にも恵まれる。

観光のように今、岡山県が挑戦する事業を推し進めるために、職員に求められる能力は「押し出す力(アピール力)」だと伊原木知事は考えている。

「こんなことを言ったらおかしいと思わずに、突拍子がなくてもどんどんアイデアを出すことが大事ですし、県を売り込んでいく営業マインドも必要です。また、県庁の枠を超えて情報を取りにいく積極性も求められています」

アイデアで言えば、「ひとり1改善運動」というアイデアを募る仕組み。ある女性職員から「中小企業のマーケティングに職員が協力してはどうか」と積極的な提案が出て、大成功した。