人生100年といわれる時代。国の公的支給は縮小傾向が続いており、老後には自分自身で備えるしかない。対処法はあるか。7つのテーマにわけて、お金のスゴ技を紹介しよう。第2回は「年金給付延長」について――。(全7回)

※本稿は、雑誌「プレジデント」(2017年11月13日号)の特集「金持ち老後、ビンボー老後」の記事を再編集したものです。

税制優遇フル活用で、確実に得する金額150万円以上!

年金の支給開始年齢はかつての60歳から、現在では段階的に65歳へと繰り下げられています。厳しい年金財政を考えると将来、70歳、75歳とさらなる支給の延期も現実味を帯びてきました。

60歳の定年から年金受給開始前までの5~10年間を退職金だけで賄うという考え方は危険です。少なくとも定年後10年間を「食べられる」だけの蓄えを、投資信託、保険などの金融商品を利用した「自分年金」として用意しておきましょう。

自分年金選びのポイントは「税制優遇が受けられる制度を選ぶこと」と「リスクを取って増やすこと」です。

自分年金の本命は「個人型確定拠出年金(iDeCo=イデコ)」です。将来の支給額が確定している公的年金の上乗せ部分と位置づければ、投資信託のようなリスク商品を使って大きく増やすという考え方もできるでしょう。しかもiDeCoを使うと、月々の掛け金を所得控除できます。節税効果を試算すると、年収700万円の会社員が月の掛け金2万3000円を積み立てた場合、年間の節税額は8万2800円、20年では165万6000円にもなります。運用商品に投資信託を選ぶと元本は保証されませんが、20年で165万6000円はほぼ確実に得をするというわけです。

投資元本は20年間で552万円となり、利回り2%で運用すれば運用益は約126万327円で、合計678万327円。それに節税分を加えると843万6327円になります。

会社員が利用できる商品なのに意外に知られていないのが「拠出型企業年金保険」です。会社が保険会社と契約し、従業員を被保険者とする一種の団体保険で、加入は任意、掛け金は従業員が全額負担、いつでも解約できるという特徴があります。「個人年金保険」に近い商品性ですが、予定利率がそれより高く1.25%程度であり、団体扱いで関連費用も安くなります。税制適格商品であれば「個人年金保険料控除」が使えるところも利点。控除の上限は所得税の場合、1月から12月までに払った保険料の合計が8万円を超えると一律4万円、住民税は5万6000円を超えると一律2万8000円です。保険料を年間8万円以上払うと、所得税率10%(住民税は一律10%)の人で6800円の節税額となります。