就職、異動、出向、転職……。さまざまな理由で「新しい職場」に移ってきたとき、あなたはどう振る舞うべきか。職場の作法や不文律で損をしない方法を4人のエキスパートに聞いた。前編は「入社・転職・出向」について――。(前編、全2回)

自信家の人ほど転職先の歓迎会で食べすぎ飲みすぎしゃべりすぎ

会社と仕事になじめない、収入を増やしたい、自分の能力をもっと生かしたいなど、転職の理由は人それぞれ。だが、転職にもそれなりのマナーがある。

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一般に、転職者には「自分を過分に高く評価している方が多い」と、ヘッドハンティングを主業務とするジーニアス社長の三上俊輔氏は言う。それが退職の際にも、新しい会社に入社する際にも災いすることがよくある。

「たとえば、前の会社で後任への引き継ぎが不十分だからと、すでに合意している転職先の入社日を1カ月も先にずらす方がいます。これはよくない。転職先の当人に対する期待値を下げてしまいます」(三上氏)

前の会社で重要な役割を担ってきたとの自負がそうさせる。しかし、転職先からすれば入社日の先送りは約束違反。引き継ぎが終わらないのも、段取りが悪いと映る。その時点で、もうダメ人材だ。

よく言われるように「余人をもって代えがたい人材」など、世の中にそうはいない。転職が決まったのなら、早いところ次の会社へ行ってくれ、というのが、前の会社の本音だ。

一方、同じく人材紹介のアクティベイト社長の海老一宏氏は、転職にあたっては、前の会社、転職先の双方に対する最低限のマナー、わきまえるべき心がけがあると言う。それらを世代別に見ていこう。

大学新卒者の3年目の離職率は3割強。学生気分が抜けきらないまま、転職する20代も少なくない。「その会社が嫌で辞めるにしても、後足で砂をかけるようなマネをしてはいけない」と海老氏は言う。「送別会で会社の悪口や、批判めいたことを口にする方がいます。『辞めるんだから、いいや』と思うのでしょうが、できるだけ好印象を残して去ったほうがいい」。

というのも、その会社で世話になった上司や同僚は、後の大切な人脈となるからだ。人の縁を軽んじて世の中は渡れない。

「会社を去るときは、組織や人へ謝意を述べることに徹する。取引先を含め、とくにお世話になった方には、少額のものでいいですから、感謝の手紙を添えてプレゼントを贈る。それが最低限のマナーです」(海老氏)

感謝の心は、モノに置き換えられる。しかし、言葉を添えなければ気持ちは伝わらない。そこがポイントだという。

一方、転職先では、仕事の出来、不出来ばかりではなく、人柄を見られていることに留意したい。

「自信のある人に多いのですが、歓迎会での食べすぎ、飲みすぎ、しゃべりすぎはちょっと注意したほうがいい。少し抑えたほうが印象は悪くないと思います」(同)