2020年度より、大学入試センター試験に代わって始まる「大学入学共通テスト」。昨秋から18年にかけて、全国の高校生を対象にプレテストが行われたが、こと英語に関しては、全体像が今も不透明なままだ。いったい何がどう変わるのか。

“話す”“書く”を加えた4技能を問われる

「2020」は東京五輪だけでなく、同年度から始まる大学入試の大改革を忘れてはならない。現行の「大学入試センター試験」に代わり、「大学入学共通テスト」が始まるのだ(21年1月実施)。今春、高校1年生になる年代が最初の対象となる。

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その中でも、注目を集めている教科が英語だ。従来の「読む・聞く」の2技能に、「書く・話す」を加えた4技能が評価されることになった。

「TOEFLやTOEICのスコアが一向に上がらない難関大出身の会社員は大勢います。ビジネスのグローバル化が進展する中で、経済界から教育界へ向け、『この事態を打開してほしい』との要望が再三なされてきたのです」――教育ジャーナリストの渡辺敦司氏は語る。そこで目を付けられたのが大学入試だった。

「現在、少なくとも高校では、英語の授業は英語で行うのが基本です。ところが大学入試は『読む・聞く』の2技能を問う、昔ながらの文法中心の問題のまま。ならば、授業でも英文和訳や和文英訳といった昔ながらの日本語を介した手法で教えたほうが手っ取り早い」(渡辺氏)

実際、センター試験でリスニングを導入した結果、ある英語の検定試験のスコア平均がアップしたというから、大学入試での4技能導入に期待するのもわからないではない。

ただ、センター試験を運営する大学入試センターで、新たに4技能の受験体制を整えるのは非現実的だ。