リーマンショックからいまだ回復できず、銀行、証券、保険ともに給与は軒並み減額。新制度導入で野村証券では社内格差が広がり、ノンバンクはいまや風前の灯火に……。

統合破談2行の前途多難

世界戦略と収益力競争の闘いに突入
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世界戦略と収益力競争の闘いに突入

かつての高給取りの代表だった金融業界。しかしリーマンショックの影響で2009年度の平均給与は数社を除き前年度減となった。

メガバンク、信託銀行は軒並み減額、あおぞら銀行は前年度比で110万円減、三井住友銀行は92万円減、新生銀行は96万円減と平均給与は前年度に比べ大幅に下落している。三井住友銀行は若い人員が増えたため平均年収が下落しただけだが、他の2行は前年実績が悪化したため減額となっている。

それでも新生銀行は849万円でメガバンク・信託銀行の中ではトップ。あおぞら銀行は2位だ。

新生銀行は旧日本長期信用銀行が1998年に実質破綻し国有化。その後リップルウッドの傘下で事業再生を進めてきたが公的資金2200億円が残り、10年3月期は前期に続き726億円の経常赤字だ。

あおぞら銀行も98年に旧日本債券信用銀行が破綻し特別公的管理銀行として預金保険機構の管理下入り。その後ソフトバンクグループ、オリックス、東京海上火災が組成したファンドが出資した。ところが03年にソフトバンクがサーベラスに株式を売却。06年11月に東証一部に再上場し、サーベラスは株を売却したが、08年4月、サーベラスはTOBで再び株を買い戻した。

大株主であるサーベラスの影響力が強く、短期間に高収益を求められる結果として経営トップが短期間で次々に交代、安易な経営者の交代で無責任な体質を生み出しているともいわれている。あおぞら銀行は2320億円の経常赤字から65億円の経常黒字に回復したものの依然、利益は低水準といってもいいだろう。

両行は09年7月、経営統合することで合意したが10年5月、統合は解消された。新生銀行は、金融庁から6月30日に業務改善命令を受け、給与体系の見直しや、職員賞与の抑制策を盛り込んだ業務改善計画を提出した。あおぞら銀行も再建が遅れ、1800億円の公的資金が返済できていない。

「他行との比較はコメントできないが、給与は前年度の実績をベースに算定されており、09年度はその前年度が赤字だったことから08年度の給与よりも平均で96万円減額している。2010年度もまた前期が赤字だったことからさらに引き下げる。経費も9月に12年度までの中期経営計画を策定し、さらに圧縮していく」(新生銀行広報担当者)

メガ三行は三菱東京UFJ銀行の787万円、三井住友銀行の733万円、みずほフィナンシャルグループ系列(みずほコーポレート銀行、みずほ銀行の平均)714万円。メガバンク3行は09年末ごろから大型増資を行い相次いで資本を拡充した。

増資後の中核自己資本は三菱UFJFG、三井住友FGが6~7%であるのに対しみずほFGは5%程度。今後さらに利益などの積み増しで自己資本を増強していく必要がある。