著作権が及ぶのは「公衆」に「聞かせること」を目的とした演奏

JASRAC(日本音楽著作権協会)が音楽教室から著作権使用料の徴収を始めたことが波紋を呼んでいる。音楽教室は、これまでも楽譜の購入や発表会での演奏といった場面で著作権使用料を支払ってきた。しかし、2018年4月から教室での演奏に対しても徴収。音楽教室側のみならず一部のアーティストからも異論が続出している。

写真=iStock.com/Satoshi-K

主な論点が、教室での演奏が「公衆に聞かせるための演奏」かどうか。著作権法第22条は「著作者は、その著作物を、公衆に直接見せ又は聞かせることを目的として上演し、又は演奏する権利を専有する」と定めている。つまり著作権が及ぶのは、「公衆」に「聞かせること」を目的とした演奏だ。

音楽教室の授業はマンツーマンや少人数制。また演奏は教育目的であり、人に聞かせて感動させるためではない。こうした実態から、音楽教室などで構成される「音楽教育を守る会」は、教室での演奏に著作権は及ばないと主張している。

ただ、同じようなケースで、裁判所はJASRAC側の主張を認めてきた経緯がある。著作権に詳しい米国弁護士の城所岩生氏は、こう解説する。

「社交ダンス教室でかける音楽の使用料をめぐって争われた裁判で、裁判所は『誰でも受講者になれるので、公衆に対するもの』と判断しました。また、カラオケボックスの1人カラオケが『聞かせる目的の演奏』と認定された判決もあります」

過去の判例に照らすと、音楽教室側の主張は旗色が悪い。