大塚家具の苦戦が続いています。2016年度から2期連続で赤字となり、直近の18年1~3月期は9四半期ぶりに黒字となりましたが、売上高は前年同期比10.7%減、営業利益は約14億円の赤字でした。大塚家具は、どうすれば復活できるでしょうか。ここでは、私のゼミが17年12月、同社役員に提案した3つの解決策を紹介します。

苦戦が続く大塚家具の大塚久美子社長。(時事通信フォト=写真)

まず、家具に対して消費者がどのような意識を持っているのかを確認します。ディノス・セシールの「家具とライフスタイルに関する意識と実態調査」(17年9月)によれば、4人に3人が「家具は多少高くても良いものを長く使いたい」と考えています。一方で、8割以上が「初期費用の高さで購入を躊躇」し、約6割が「予算内で(気に入らないが安い)他の商品を購入する」と答えています。また、3人に2人が家具選びに「こだわりがある」としながらも、約半数が、「家に置いたらしっくりこなかった」と回答しています。別の調査(Nifty何でも調査団「こだわりについてのアンケートランキング」14年12月)では、家具(インテリア)を選ぶ際のこだわりは、1位が「価格・コストパフォーマンス」(43%)、2位が「使い心地の良さ」(40%)、3位が「色・柄」(38%)でした。

これらの調査結果からうかがえるのは、「家具選びにはこだわりたいが、価格も無視できない」という人々の意識です。大塚家具が取り組むべき施策として、次の3つの提案をしました。

短期的戦略として提案したのが、まず試して、気に入ったら購入してもらう「Rent-To-Own(RTO)」の導入です。商品を価格の3%でレンタルし、1~2年のレンタル終了後に買い取るか返却するかを顧客が決めます。これなら、「初期費用の高さで購入を躊躇」する人でも、実際に生活の中で使ってみて、その良さを体験してもらうことで、購入につなげることができます。このように、顧客の心理的・金銭的リスクを取り除く(反転させる)ことをマーケティング用語で「リスク・リバーサル」と言います。

RTOのポイントは、レンタル終了時の購入成約率をいかに上げるかです。利益を取りつつも顧客に負担がかかりすぎない料金設定とし、購入のハードルを下げることが前提となります。なお、返却された商品は、リユース品としてRTOまたは販売を行います。

この方法は、大塚家具でも検討していたようで、「実施に向けて進めたい」とのコメントをいただきました。ただ、これだけでは、キャッシュフローの大幅な改善にはそれほど役立ちません。