関係先の人の訃報に接したら、どう対応すべきか。競合他社に遅れをとらない、葬儀参列の際に恥ずかしくない立ち居振る舞いとは──。

ポストにかかわらず、各部門責任者に知らせる

不幸の知らせは突然届くもの。見よう見まねのマナーで通夜や葬儀・告別式に参列してきたけれど、本当はどうするのがしきたりにかなっているのか、不安な人も多いはずだ。特に得意先、仕入れ先、金融機関、関連会社など、仕事に関係する人の訃報に接したときは、ビジネスにも影響を与えかねず、なにかにつけ、今後マイナスになるかもしれない。

現代礼法研究所を主宰する岩下宣子さんは「相手の対応によっては、お祝いごとよりも悲しみごとのほうが怒りに変わりやすいものです。それだけに弔事では相手の立場に立ち、心を込めて見送る気持ちとマナーが求められます」と指摘する。さらに、「関係先の人の訃報に接したら、故人のポストにかかわらず、ただちに関連部門の各責任者に知らせることです。各責任者は会社の規定に照らして部門としての対応を考え、担当者に連絡します」とアドバイスをする。

訃報を確認したら、会社としてどう対応するかを決めなければならない。つまり、会社対会社、あるいは会社対個人としてなのか、その対応の仕方を、時を移さず決定する。

その際に、関係先とのつきあいの深さ、また故人の社会的な地位、業界での立場などを考慮して決定するのが一般的だ。ただ、“やらなすぎ”よりは“やりすぎ”のほうを選ぶのが原則だろう。ただし、「今は家族葬など葬儀を身近な人だけで行う場合も多く、もし、諸々ご辞退とかの申し入れがあれば、それに則るのがマナーでしょう。先方の事情に配慮することが大切です」と話すのはマナーコンサルタントの西出ひろ子さん。

「気持ちを、どうしても表したければ、後日、お花を会社や自宅宛てに文をしたためてお送りすれば、思いのこもったものになります」(西出さん)

▼取引先の訃報を知ったら間違いのない対応を
(1)取引先の不幸の知らせに接する
(2)関連部門の各責任者に知らせる(故人のポストにかかわらず)
(3)対応の仕方を検討(会社対会社 or 会社対個人)
【チェックポイント10】
・関係先とのつきあいの深さ
・故人の社会的な地位、業界での立場
・弔電は社長名で打つか
・通夜の弔問はどうするのか〈伺うとすれば誰が行くのか〉
・遠方のときはお悔やみ状にするのか、出向くのか
・香典の額はいくらにするのか
・生花・花輪の供花はどうするか
・通夜・葬儀に手伝いの社員を差し向けるかどうか
・葬儀・告別式への参列はどうするのか
・弔辞を頼まれたら文案は誰が起草するか