"日本の親権"は大人に優しく子供に厳しい

泥沼化しやすい離婚裁判。争いのもとの1つが、親権だ。

未成年の子がいる夫婦が結婚しているあいだ、子の親権は原則として父母が共同で持つ。しかし、離婚後は単独親権になり(民法819条)、父母どちらか1人が親権者になる。

親権の内容は多岐にわたる。子の財産を管理したり、子の代わりに契約をするのは親権者。また、子の住む場所や、子が就職するときに許可するかどうかも親権者に委ねられている。親権者が遠方に引っ越しても、親権がないもう片方の親は文句をいえない。離婚後に親が子と会うことを面会交流というが、親権の有無は面会交流にも強く影響する。ゆえに離婚時、父母どちらも親権を譲らずにモメるのだ。

海外の先進国では事情が異なる。たとえばアメリカでは離婚後、親権を共同にするか単独にするかを選べる州が多い。アメリカでも父母のどちらかが自分の単独親権を主張すれば争いになりやすいが、最初から単独親権のオール・オア・ナッシングで争わざるをえない日本と比べれば、はるかに妥協点を見出しやすい。

離婚する夫婦はそもそも仲が悪いから離婚に至るわけだが、単独親権だと離婚時や離婚後、輪をかけて関係が悪化しやすい。父母が必要以上に憎み合う状況は、子の福祉を考えても望ましくない。日本も海外並みに離婚後の共同親権を認め、子を奪い合わなくてもいい環境を整えるべきだ。