人気お笑い芸人・カンニング竹山さん。その「キレ芸」は、なぜ重宝されているのでしょうか。バラエティプロデューサーの角田陽一郎氏は、「竹山さんは人の話を全部聞いてから『コラーッ!』と言う。言いたいことを言わせて、話の腰を折らない。だからおもしろい」と分析します。そして、そんな芸風は「運」も引き寄せているといいます――。(第2回)

※本稿は、角田陽一郎『運の技術 AI時代を生きる僕たちに必要なたった1つの武器』(あさ出版)の一部を再編集したものです。

「コラーッ!」にもタイミングがある

さまざまな番組でひっぱりだこのカンニング竹山さん(竹山隆範さん)。彼がなぜ重宝されるかわかりますか? キレ芸はもちろん彼の持ち味ですが、ポイントはキレるタイミングにあります。

角田陽一郎『運の技術 AI時代を生きる僕たちに必要なたった1つの武器』(あさ出版)

竹山さんは、人の話を全部聞いてから「コラーッ!」と言います。言いたいことを言わせて、話の腰を折らない。さえぎらないのです。

もし、ろくに話も聞かないで「コラーッ!」とぶった切ってしまったら、それ以上話が進みません。

話そうと思っていた人は不完全燃焼に終わって不満がつのります。もちろん、視聴者もです。「なんだよ、話聞きたかったのに……」となりますよね。

人の話をさえぎった「コラーッ!」はおもしろくもなんともない。十分に話させた後に「コラーッ!」と言うから、おもしろいのです。

途中で怒り出すのはミスジャッジ

竹山さんの「コラーッ!」はもちろん芸としてやっているわけですが、では私たちが本当に誰かに腹を立てた時のことを考えてみましょう。

怒りの表明というのは、相手にものすごいインパクトを与えます。そのインパクトは確実に相手の話の腰を折ります。すると、本来聞けたはずの話が聞けません。

得られたはずの情報が得られない。その話には、同意できるにせよ、しかねるにせよ、相手の言い分が含まれているにもかかわらず、です。

それに、もしかすると最後まで話を聞いたらこちらの怒りが幾分かは消えるかもしれません。であれば、しびれを切らして途中で怒りを表明するのは、完全にミスジャッジということになります。こういう人から運はどんどん逃げていきます。