あなたは予算書・決算書を正しく理解できているだろうか。「プレジデント」(2018年3月19日号)の特集「会社の数字、お金のカラクリ」では、そのポイントを8つのパートにわけて解説した。第6回は「倒産の前触れ」について――。

銀行は企業の返済能力を見る

会社が倒産するのは資金繰りに行き詰まるからだ。借入金が返済できず、手形が半年に2度不渡りになれば銀行取引もできなくなり、融資もしてもらえず、経営は継続できなくなる。そのため、倒産リスクを測るには、銀行の立場で考えるとわかりやすい。

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まず見るべきは、純資産と借入金の比率だ。これは借金体質かどうかを判断する指標で、純資産に対する借入金の比率が大きいほど借金に頼った経営をしていることになる。大手メーカーなら1対1がめざすべき水準とされる。

では、いくらぐらいの借入金ならいいのだろうか。基本的には借入金の総額を、返済の原資となる営業キャッシュフロー(CF)1年分で割ると、何年で完済することができるかが掴める。それが7~10年であれば、借金を返せる能力があると判断できる。

ただし、業界特性も考慮する必要がある。エルピーダメモリは、NECと日立製作所のDRAM事業部門を統合した会社で、この分野では日本のリーディングカンパニーだった。借入金(3371.9億円)と純資産(3560億円)はほぼ1対1であり、借入金は営業キャッシュフロー(1425.7億円)の約2.5年分であり、前述した基準をクリアした優良企業に見える。