コンパクトカメラBiG miniのデザインを担当したコニカミノルタグループ・平賀明子。冷凍食品の雄ニチレイフーズ・武永早苗。世界市場で成長著しい村田製作所・水野健一。次世代の日本を背負ってたつ俊英が結集した。

日々の業務では決して触れることのない世界最先端の経営学講義は、先行き不透明な企業経営の解決策を見出した。時間と場所を選ばない講義、読書、討論の相乗効果は受講生の何を変えたのか。

<strong>村田製作所 コンポーネント事業本部 第2コンデンサ事業部事業部長 水野健一</strong>●1960年、福井県生まれ。大阪府立大学工学部電子工学科卒。83年入社。一貫して積層セラミックコンデンサ業務に従事。2009年11月より現職。
村田製作所 コンポーネント事業本部 第2コンデンサ事業部事業部長 水野健一●1960年、福井県生まれ。大阪府立大学工学部電子工学科卒。83年入社。一貫して積層セラミックコンデンサ業務に従事。2009年11月より現職。

武永と同じく開発技術者としてスタートしたのが、村田製作所コンポーネント事業本部第2コンデンサ事業部の事業部長を務める水野健一(51歳)だ。

村田製作所は、セラミックコンデンサを主力とする電子部品メーカー。同社の商品はありとあらゆる電気製品の内部に組み込まれ、たとえばコンデンサなら「携帯電話1台に200個、パソコンだと500個ほど使われている」(水野)という産業の必需品である。

水野の事業部は汎用品ではなく、特定用途向けのセラミックコンデンサを扱っている。たとえば、今後爆発的な市場の伸びが期待される電気自動車などに適した商品がつくれるという。

「電気自動車もその一つですが、いま産業の中で新しい流れがいっぱい起きていますし、これからも起きると思います。そこへ向けて、いかに新しい分野を取り込み、大きな事業領域にしていくか。これが我々の使命だと思っています」

そう語る水野も、大前経営塾の17期生である。技術畑の社員として順調にキャリアを重ねてきたエリートだが、一定の商品分野の設計開発や品質保証からマーケティング、販売促進までを統括する事業部長に昇任してからは、「経営者視点」を身につける必要が生じていた。そのための「道場」として会社が用意してくれたのが大前経営塾だったのだ。

「うちでは僕が初めての受講生になるそうです。何人かいる事業部長のなかでは一番日が浅い新米なので、『こいつはトレーニングが要るやろ』(笑)ということで、選ばれたんだと思いますよ」

大前経営塾では、課題図書として毎月数冊の書籍を読み込まなければならない。そのなかで、印象深い著作があるという。

「大前さんの『新・資本論』です。読んだのはつい最近のことですが、そのときにわかったのは、いきなりこの本に挑戦してもすんなりとは理解できなかっただろうということです。つまり、そこに至るまでの数カ月の間、大前経営塾のさまざまな課題や講義を通じて学んできたことが、この一冊を読むことでつながって見えてきたのです。『質問する力』などの基礎力を鍛える科目や経営者講義、あるいは道州制や電子マネーに言及する大前さんの著作。そういったものを通じて、これからの世界の動きを見通すために、どういう発想を持つべきかといったことをトータルで教えてくれていたんだと気づきました。カリキュラムに沿って学ぶうちに、だんだんと全体像が見えてきたという印象です」

晴れ晴れとした顔で水野がいう。「トレーニング」の成果は、十分にあがっているというべきだろう。 (文中敬称略)

(増田安寿、熊谷武二=撮影)