ビジネスマンの趣味として根強い人気を誇る「登山」。普段とは違う世界が見られる一方で、山岳遭難者は過去最高を記録している。電波のない場所でも使えるアプリを開発した、福岡の起業家に話を聞いた。

九州一周の自転車の旅が自分を変えた

【田原】春山さんは福岡県のご出身で大学は同志社ですね。なぜ京都の同志社に?

【春山】福岡以外の広い世界を見たかったんです。あと、親元を離れて1人暮らしがしたいという思いもありました。

【田原】福岡だと関西ではなく、東京に来る人が多いよね。東京が嫌いだった?

【春山】嫌いではなかったです。でも、結果的に京都で大学時代を過ごせてよかったですね。東京は人や情報が多くて流行りに振り回される面があります。それに対して京都は、都会と自然のバランスがよく、京都独特の時間が流れている。いま振り返ると、京都という街そのものが僕にとっての大学だった気がします。

【田原】同志社のとき、自転車に乗って九州一周の旅をしたそうですね。

【春山】浪人しているとき、睡眠以外はずっと勉強をしていて、虚しくなったことがありました。いま自分は一所懸命勉強しているけど、結局、机の前に座っているだけ。現実の世界を自分の目で見てないのに、わかった気になっていいのかって。そのとき決めたのが、大学に合格したらバイトや旅をして社会とつながりを持つこと。それで同志社に合格後、ゴールデンウイークに九州一周の旅に出ました。