同業他社に転職して手取り年収が200万円増えた敏腕営業マン。妻と2人の子供のために念願の「家と車」を購入した。しかし、「ワンランク上」の暮らしを手に入れたことから、財布のひもが緩み、家計は月7万円の大赤字。ボーナスはローン返済に消え、残りの貯金はあと1年分しかない。この30代夫婦の危機にファイナンシャルプランナーが示した解決策とは――。

転職で年収200万円増がもたらした「貧乏物語」

「転職して収入も増え、家族4人で幸せに暮らしていけると思ったのですが、家とクルマを買ってから家計が火の車になってしまって。このままではあと1年で貯金が底を突きます。どうしたらいいでしょうか」

悲壮な表情で相談に見えたのは三好達夫さん(36歳、以下すべて仮名)と、その妻・香織さん(35歳)でした。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/photo5963)

新卒で入社以来、敏腕営業マンとして鳴らした達夫さんは、1年前、その高い能力が評価され、インセンティブの収入が多い同業他社に転職しました。これまでどおりの営業成績が上げられれば毎月10万円、ボーナスをふくむ年収では200万円増え、手取り年収は450万円から650万円に上昇する見込みでした。そこで、念願のマイホームと自動車の購入を決断したそうです。家(3650万円)と車(約350万円)の合計は4000万円。うち、双方の頭金計800万円を除く3200万円のローンを組みました。

香織さん、長男の優斗くん(10歳)、長女の真凛さん(8歳)の家族4人での幸せ満点の新生活がスタートするはずでした。

ところが、誤算が生じたのです。

▼新居と新車「ワンランク上の生活」で財布のひもがユルユル

収入は予定通り伸びたのですが、子どもの習い事や夫婦の自分磨き費など、「憧れのワンランク上の生活」にかかる費用で、毎月の支出が大幅な赤字になってしまったのです。

マイホームの購入後に支出が増えてしまうのは、よくある失敗談です。ついに手に入れた住まいに見合う生活をしたい。せっかくだから新居の間取りにあった新しい家具や家電を買いそろえたい。そんな思いから、財布のひもが緩くなり、いつの間にか家計は火の車になっているのです。

三好家の赤字は毎月6万6000円にも達していました。

マンションと車のローンには「ボーナス払い分」もあるため、ボーナスには頼れません。毎月の赤字を埋めるのは貯金だけ。その貯金はマンション購入時に頭金として使ったために、1年前の残高は200万円ほどでした。この1年間で約90万円を赤字補填に使ったので、残りは約110万円。このままでは1年後には貯金が底をついて、借金生活に突入してしまいます。