なぜあなたは忙しいのか。それはムダな行動で時間を浪費しているからかもしれない。今回、「プレジデント」では5つのムダについて、5人の識者に解決法を聞いた。第5回は「参加するだけムダ」――。(全5回)

※本稿は「プレジデント」(2018年1月29日号)の特集「24時間の使い方」の掲載記事を再編集したものです。

名刺だけ残っても意味がない

人脈をつくりたい、新しい出会いがほしい。そんなとき「異業種交流会や勉強会に行ってみようか」と考える人も多いだろう。私自身、交流会や勉強会にはできる限り参加する主義だが、どんな会にでも無条件で出席するわけではない。会によっては、「名刺だけは何十枚も集まったけれど、1人も顔を思い出せない」という結果に終わることもあるからだ。

写真=iStock.com/Deagreez

どんな会が「出るだけムダ」なのかといえば、「そこにいる全員が“何か”を求めている」ような会である。“何か”というのは、「仕事につながる話」や「転職のためのコネ」だ。全員が求めてばかりで与える人がいない集まりは、ハイエナの群れも同然。お互いが牽制しあって、参加した後には疲労感しか残らない。

こうした会は、テーマが明確に設定されていないことが多い。門戸が広く、誰でも参加できる分、いいことを漠然と求めるハイエナが、鼻をきかせて集まってくるのである。

これは裏を返せば、はっきりした目的のある交流会なら、「参加してよかった」となる確率が高いということ。自分が興味あることについて楽しんだりする会は、仮に出会いがゼロだったとしても、当初の目的を達成できて時間のムダにはならない。実際のところ、読書会、ワインの会、マラソン同好会など、趣味を通じたつきあいのほうが転職や仕事の話につながることが多いようだ。おそらく仕事を離れ、重い鎧を脱いだ素の状態でつきあうので、人間性がよくわかるのだろう。