コミュニケーションにおける「ちょっとしたミス」が原因で、大きなトラブルに発展することがあります。パナソニックシステムソリューションズジャパン部長の木部智之氏は、「そうしたミスの責任は、100%発信者側にある。『伝えた』だけでは自分の期待した成果は得られない。『伝わる』ことで、初めて結果が出るものだ」と言います。自分の伝えたいことを相手に正確に伝える「伝え方の3原則」とは――。

伝え方が悪いと「時間」と「品質」を失う

どんな職種、業界でも、ひとりで完結する仕事はほとんどありません。人と人とが関わり、チームや組織をまたいで仕事が進みます。

そして、その際には必ずコミュニケーションが発生します。

ごくごく簡単な仕事だったり、相手とツーカーの関係だったりする場合には「あ・うんの呼吸」で「あれやっといて」というレベルのコミュニケーションでも問題は起こりません。しかし、多くの仕事ではそうはいきません。

・関係部署、関係者が多い
・プロジェクト期間が長い
・仕事内容が、新規。あるいは複雑である

特に、このような場合には、より一層コミュニケーションの質が仕事の成果を左右する重要な要素になります。

コミュニケーションミスが起きた場合、私たちが失うものが2つあります。

それは、「時間」と「品質」です。

例えば、クライアントに提出する資料の作成を後輩に依頼した場合に、自分が期待しているレベルよりも低いものが上がってきたら、それは「品質」を失ったことになります。

そしてこの資料を「もう一度作り直すように」と指示すると、今度はやり直しをするための「時間」を失うことになります。

さらに、もう一度資料ができあがったとしても、またしても望んだレベルに達していなければ、「時間」に加えて、やはり「品質」を失うことになります。

コミュニケーションミスの責任は「発信者」にある

相手に指示内容を「伝えた」からといって、それだけで自分が期待した成果を得られることはありません。

伝えたい内容が相手に正確に「伝わる」ことで、初めて結果が出ます。

当たり前のように聞こえるかもしれませんが、仕事の現場では、これを意識できていない人がかなりいます。

よく見られるのが、「資料作成の指示をしたのに、後輩が全然わかっていない」「メールで連絡したのに、全然理解していない」などと愚痴を言って、コミュニケーションミスの責任を「受け手」のほうに転嫁するケースです。

でも、悪いのは本当に受け手でしょうか?

指示が曖昧だったり、わかりにくかったりしていませんか?

メールの指示が長すぎて、読みにくいものになっていませんか?

説明会の資料が数十ページにもわたり、とても理解できかねる分量になっていたりしませんか?