「PDCA」「SWOT分析」「PPM分析」……などのフレームワークを、実際に「仕事で活用している」と言い切れる人はどれだけいるでしょうか。パナソニックシステムソリューションズジャパン部長の木部智之氏は、「フレームワークは机上の空論ではない。どんなビジネスパーソンであっても、現場で活用できるものだ」といいます。その具体的な方法とは――。

※本稿は、木部智之『複雑な問題が一瞬でシンプルになる2軸思考』(KADOKAWA)を再編集したものです。

結局、あなたの仕事でフレームワークが使えない理由

フレームワークと聞いて多くの人が思い浮かべるのが、ロジカルシンキングのビジネス書などに載っている「3C」「4P」「SWOT分析」「PPM分析」などだと思います。

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しかし、これらのフレームワークを実際に仕事で使っている人は、あまりいないのではないでしょうか? 少なくとも、私が仕事をしているシステム開発の現場では、ほとんど見たことがありません。

私のチームの若手メンバーからは、「研修やセミナー、ビジネス書でいろいろなフレームワークを勉強したのですが、正直、仕事でまったく使えないので忘れてしまいました」という声も、よく聞きます。

こうなってしまう原因は、有名なフレームワークのほとんどが著名な経営者や世界的なコンサルティング会社が作ったもので、経営戦略やマーケティングに使うためのツールとして開発されてきたからです。しかし、ビジネスパーソン全体の中で経営戦略の立案やマーケティングに携わっている人がどれだけいるでしょうか?

「フレームワークは結局使えない」という声が多くなるのも、当然のことです。

2本の線で情報をシンプルに整理するフレームワーク「2軸思考」

さまざまな現場で働くビジネスパーソンの間で、「フレームワークはよくわからないもの、使えないもの」という考え方が蔓延(まんえん)してしまっていることを、私はとても残念なことだと思っています。

理由は、フレームワークこそが天才ではない「普通の人」にとっての最大の武器だと思うからです。とりわけ天才でもない私が外資系の最前線で15年間働き続けてこられたのも、フレームワークを使って考えてきたからなのです。

フレームワークなしで考える、すなわちロジカルシンキングをしないということは、「竹やり一本」で戦をするようなもの。ちょっと手ごわい問題を相手にすると、すぐに負けてしまいます。一方で、「SWOT分析」「PPM分析」などの有名フレームワークを知っていたとしても、それを使う場面がなければ意味はありません。

私たちに必要なのは、いま目の前で起こっている問題に柔軟に対応できる「本当に使えるフレームワーク」です。