ヘロインやモルヒネも含めて総称されている

アメリカでオピオイドと呼ばれる薬の乱用が社会問題となっている。鎮痛作用に極めて優れ、同国ではガンによる痛みの緩和から慢性的な疼痛の治療にまで幅広く用いられてきた。この薬に詳しい東京都医学総合研究所の笠井慎也主席研究員によれば、人工的に化学合成された薬とともに、天然のケシから抽出されるヘロインやモルヒネも含めてオピオイドと総称されているという。

トランプ大統領は2017年10月、オピオイド蔓延に対し非常事態宣言を発した。(時事通信フォト=写真)

問題となっているのはその依存性とともに、過剰摂取が突然死をもたらしうること。

アメリカでは2016年に薬物過剰摂取による死亡者が6万7000人以上に達し、その約6割がオピオイド。同年4月に他界した音楽家・プリンス氏の死因も然りだ。

「全米調査によればアメリカ人の約9%が慢性疼痛患者で、こうした背景を踏まえて製薬会社が様々なオピオイドを開発し、医師も安易に処方したことが乱用の一因と言われている」(笠井氏)。

その点、日本では医療用麻薬に指定されており、「各都道府県で登録を受けた医師しか処方できず、使用率は15年の時点でアメリカの約15分の1」(同)

この事態を受けてトランプ大統領は、処方量を向こう3年で今の3分の2に減らす方針。ただ、オピオイドが本当に必要な患者が存在し、適切に使用すれば優れた効果を発揮するのも事実だ。

(写真=時事通信フォト)
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