若手にしろ、ベテランにしろ、どの職場にも「問題児」はいるだろう。どう向き合えばいいのか。「プレジデント」(2018年3月5日号)では、9つの場面について、具体的な対処法を識者に聞いた。第3回は「逐一言わないと動かない」について――。

「仕事は手段」が、指示待ちを生む

上司や先輩から指示をされないと行動しない、自発的に動こうとしない「指示待ち」若手社員は、いつの時代も一定数いる。しかし、いきなり「で、今日は何をすればいいですか?」と聞き返すようなケースが増えているのは、比較的最近の傾向だ。仕事のやり方には正解があるはずなので、上司や先輩はそれを最初から教えてくれるべきだと思い込んでいる。だからといって、頭ごなしに「自分で考えて動け」と言っても解決にはならない。

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指示待ち志向の若手社員は、決して手抜きをしようとしているわけではなく、仕事ぶりを見ると非常にまじめで丁寧だ。そんな彼らの話をじっくり聞くと、「会社」「働くこと」に対して冷めた見方をしているのがわかる。

ブラック企業問題、相次ぐ会社の不祥事などで、企業に対する不信感が煽られたことも一因だろう。このため彼ら・彼女らは、仕事は生計を立てるための「手段」としてとらえている傾向が強い。一方、若手たちの上司にあたる団塊ジュニア世代は、仕事を自己実現のための「目的」と見ているので、ギャップがある。さらにその上の世代は、仕事を「手段」と見てはいるが、若手だったころはまだ景気もよく、仕事そのものにおもしろさや意味を見出すことができた。

ところが最近の仕事は、マニュアル化と細分化が進み、自分が担当している仕事が、大きな流れの中でどんな役割を占めているのかという全体像や、社会に対してどんな価値を提供しているのかというストーリーが描きにくい。意義が見えない、つまらない仕事ばかりであれば、能動的に取り組もうというモチベーションは生まれにくい。指示待ちになるのもいたしかたない。