マイナス金利政策でリテール部門の収益性が悪化

近年、減少の一途をたどる3大メガバンクの新卒採用数。2019年4月入社の新卒採用数は、三菱UFJ、三井住友、みずほと3行合わせて2300人程度と今春から3割下回る見通しだ。

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大量採用してきた銀行に変化が起きた要因は、大きく分けて2つ。テクノロジーの発達とマイナス金利導入によるリテール部門の収益悪化だ。

まず、AIやデジタル技術の進化によって、銀行の窓口業務を一部オートメーション化できるようになり、店舗の人員を抑えることが可能になった。同時に、マイナス金利政策などによって銀行預金のメリットがなくなり、リテール部門の収益性が悪化。人件費を削減する必要に迫られたことが採用減につながった。

ただこれは、かつて製造業でも起きたことが銀行業界でもはじまっただけのこと。銀行員はよりクリエーティブな業務にシフトする必要があり、私はこれ自体悪いこととは思わない。当然だが顧客の家族構成や個人の背景などは様々で、マニュアル的な接客で商品をおすすめするのには限度がある。AI全盛の時代こそ顧客は深いコンサルティングをより求めるようになるだろうし、銀行員の仕事は個人の金融コンサルティング業務に特化していくことだろう。