あなたの睡眠は医学的に正しいものだろうか。たとえば「寝る前にホットミルクを飲むとよく眠れる」といった話は本当なのか。「寝不足」は体に悪いのか。一方で「寝過ぎ」はどうなのか。最新の医学論文をふまえ、臨床の最前線とオンライン健康相談の両方で活躍する医師が解説する――。

年々減少している日本人の睡眠時間

「自分は良い睡眠を取っている」と自信を持って言える人は、どのくらいいるのでしょうか。成人の睡眠の推奨ラインとされる7時間以上の睡眠(※1)を取れていない方は年々増加傾向にあり、厚生労働省の調査では約7割の方が7時間未満の睡眠でした(※2)。睡眠時間を増やせればいちばん良いのですが、やらなければならない日中の仕事やストレスに備えるため、短い時間でもよりよい睡眠を取りたい、と思われる方が多いかと思います。

オンライン健康相談「first call」でも、睡眠に関する相談がたくさん寄せられます。例えばこんな相談をよくいただきます。

「睡眠不足で、仕事中に集中力が維持できなくなりつつあり困っています。なかなか寝付けません。薬などにはなるべく頼りたくないのですが、簡単にできることはないでしょうか?」(30代、男性)

「しっかり眠れなくて困っています。帰宅は早くて20時、遅いと日を超えます。朝は早いので、うまく睡眠を取りたいと思っています。眠りについてのアドバイスをお願いします。」(30代、男性)

多くの働く方が、仕事のパフォーマンスへの睡眠の影響に悩まれており、薬に頼らずに何か日常的に対処できる方法を求めておられることを実感します。

そんな眠りに関して、「寝る前にホットミルクを飲むとよく眠れる」という話を耳にします。みなさんも聞いたことあるのではないでしょうか。

そこで今回は、ホットミルクが本当に睡眠に効果があるのか、を検証します。