仕事がデキる人は、頼まれごとや誘いごとを簡単には引き受けません。なぜでしょうか。エッセイストで講演家の潮凪洋介氏は、「一流の人は時間という資源の貴重さを理解している。一流になるためには、あやふやなイエスより、明確なノーを言う習慣を身につけるべきだ」と説きます――。

楽しくない時間に自分を慣れさせると損

4月は新年度で、新社会人はもちろんですが、それぞれに新天地への異動や転籍など新生活を迎える人が多い時期です。

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そんな新しい環境においてよくありがちなことが、「相手に不快な思いをさせたくない」「嫌と言いにくい」「いい人だと思われたい」などの心理的な影響で、依頼や誘いをなかなか断れず、知らず知らずのうちにストレスを抱えてしまうことではないでしょうか。

また、飲みに行きたくない上司に誘われ、半ば強制的に駆り出され参加した揚げ句、センスのない話や会社の愚痴、重苦しい説教を聞かされ「もう、うんざり」なんて経験は誰しもあるはずです。

私にも20代の頃、そんな経験がありました。今思えば無駄な拷問時間だったと痛感しています。「忍耐」という2文字以外、何も浮かびません。

魅力のない痛い上司でも、「上司」というだけで若者と飲みに行ってもらえるわけですから、会社というシステムはいろいろな意味で本当によくできています。

しかし、私はこういった被害者を世の中から1人でも救いたいと真剣に考えています。

「イヤな誘いを断ることができない」とお悩みのあなた。

もうサラリとかわそうなんて思うのはやめましょう。これからは腹をくくって断るようにしましょう。「ここから先は譲れない」というキッパリとした意志を持ち、下腹に力を入れ、「予定がありますので」と力強く言い切れば大抵うまくいくものです。

どうでもいい飲み会が惰性になってはいませんか?

また、腹をくくってキッパリと断ることで、相手にいさぎよく諦めてもらうことが可能となります。一番NGなのは、「次は行きますね」といった社交辞令で相手に次回の誘いを促すような行為です。

どうしても「予定があります」と言えない人は、本当に手帳に予定をどんどん書き込みましょう。別に約束がなくてもOKです。

帰りに大好きなあの映画を借りて、家でゆっくり見る。スーパー銭湯のサウナで汗を流す。大好きなカフェで甘い物を食べに行く。ずっと行きたくて行けてなかったあのラーメン屋に行く……など、あなたが普段からやりたかった行動プランで埋め尽くしてしまえばよいのです。そうすれば罪悪感なく言えるようになります。

どうでもいい飲み会が完全に惰性になってしまっているあなた。

人生を無駄にするただのいい人にならないように、ここらでしっかりシフトしてみてはいかがでしょうか。

あなたには自分の時間を楽しいことで埋めつくす権利があります。「楽しくない時間に自分を慣れさせること」が大人になるということではありません。上手に楽しいことで埋めつくすのが大人になることなのです。