昨年10月、民進党は希望の党と立憲民主党、無所属の会に分裂した。その後、民進党は大塚耕平参院議員を代表に選び、他党との連携を模索している。その後、民進党は希望の党と5月中の新党結成を目指して協議を開始した。大塚代表に今後の戦略を聞いた――。(前編、全2回)

※インタビューは2月27日に行った。取材後、民進党は3月30日の両院議員総会、4月1日の全国幹事会で新党結党の方針を決定。現在、希望の党の元民進党議員を中心に、新党結党に向けて動いている。

民主主義を軽視する安倍政権に対峙する

【塩田潮】昨年10月の総選挙の前後、民進党が分裂しました。民進党代表に就任した後、立憲民主党と希望の党に結集を呼びかけ、不調に終わった後も、あきらめずに唱え続けていますね。

大塚耕平・民進党代表

【大塚耕平・民進党代表(参議院議員)】主権者である国民が唯一、主権者としての権能を行使できるのは、総選挙のときに政府を選べることだけです。その主権者の期待に応えるには、政権交代可能な政治を実現しなければなりません。永久に野党でいるつもりなら、同じ考えの人だけで気持ちよくまとまればいい。しかし、政権交代可能な政治を実現するなら、多様な意見を包含し、共通の目標に向かって結束しなければ、政権は取れない。

自民党政権との対立軸は何か。保守とリベラルは本来対立概念ではありません。保守とリベラルを対立軸にするのは間違いです。では、何を対立軸にすべきか。何が正義か、何が正しいかということに、絶対的な答はありません。重要なことは、時間が許す限り熟議を尽くすことです。熟議を尽くせば、少しでも良い結論に到達するかもしれない。これが民主主義です。

ところが、自民党や安倍晋三首相は、時間があるにもかかわらず、熟議を尽くそうとしない。手続きを軽視する。火急を要しない案件でも強引に決める。民主主義を軽視しています。民主主義を重んじようとする勢力か、民主主義を軽んじても自らの主張を実現しようとするのか、この点が対立軸であれば、野党6党はすぐにでも結束できます。

民主主義を軽視する安倍政権と対峙するという大義の点では、野党間に差はありません。だから、私は何度、袖にされても、立憲民主党と希望の党に、多少の意見の違いがあっても結束しましょうと、働きかけを続けているのです。

【塩田】去年の9月、衆議院が解散になったとき、当時の民進党の前原誠司代表が行った選択をどう受け止めましたか。

【大塚】政権交代可能な政治を実現するために、おそらく前原さんはどうやったら政権交代の可能性のある総選挙にできるかを考えたのだと思います。動機がそういうことであれば、それは理解できます。ですが、その先はご承知のとおりの展開になりました。動機は理解できても、詰めが甘かった。その結果、分裂選挙になったという意味において、前原さんの選択は失敗だったと評価せざるを得ません。

議員のほぼ全員が去年9月27日の報道で希望の党との合流構想を知りました。翌28日の両院議員総会では、それが実現すれば確かに政権交代の可能性も出てくることから、ほぼ全員が反対はしませんでした。その先の具体的な協議に関わった人はごく少数。特に参議院議員はほとんど蚊帳の外でした。

その段階では参議院議員の帰趨は未定。前原さんが「総選挙の後に参議院議員と地方議員も希望の党に合流するということも念頭に置いて」という自分の考えを述べただけで、組織として決定事項にはなっていませんでした。