どれだけ論理的に物事を考えられる人でも、「話し方」に問題があればチャンスを逃してしまう。「プレジデント」(2017年12月18日号)では、6つの場面別に「相手が気持ちよくなる言い方」を紹介しています。第5回のテーマは「後ろ向きな会議」です――。

「ずばり!」と心の中で呟こう

アイデアが出ない、結論が出ないという「後ろ向きな会議」。前向きな場にするには、参加者の発言方法とファシリテーター(進行役)の仕切りを変える必要があります。

まず、会議の参加者に身につけてほしいのが「思考フレーム」です。思考フレームとは決まった型に当てはめて話すこと。これを使って参加者が発言すれば、論点がバラつくことなく、テンポのいい会議が実現します。

世の中には膨大な数のフレームワークがありますが、会議で使うのはただ1つ。「結論・理由・詳細」という3つの項目を使った思考フレームです。この魔法の型に当てはめて話す言葉を組み立てれば、重くて複雑なテーマも軽妙にわかりやすくできます。

たとえば「君はAとBの商品、どちらがいいと思う?」と聞かれたとします。思いついた順に話すと、

「え~、ISO規格のBは品質がよくてですね、この商品カテゴリーでISO規格はBだけなんです。なので私はBがいいと思います」

と論理展開が乱れてわかりづらい。

一方、思考フレームを使えば、

(1)私はBがいいと思います(結論)
(2)品質がいいからです(理由)
(3)この商品カテゴリーのなかでもBは唯一のISO規格なんです(詳細)

と自然と考えが整理されわかりやすくなる。発言者の話す内容が端的に伝わって会議の場も活発になります。

この思考フレームを使うのに、私が企業研修や講演で勧めているのが結論(1)の前に「ずばり」、理由(2)の前に「なぜなら」、詳細(3)の前に「それは」と心の中で呟くこと。さらにそれを、日常生活の会話でもできるだけ実践することを伝えています。

たとえば上司への報告。

(1)(ずばり)今月の売り上げは先月の1.5倍でした(結論)
(2)(なぜなら)いつもより商品がたくさん売れたからです(理由)
(3)(それは)10月末のハロウィーン需要の恩恵を受けたからです(詳細)

と応用できます。