よく「2人に1人はがんにかかる」と言われる。だがこれは高齢者を含めた数字で、現役世代の罹患率は決して高くない。例えば40歳の男性が10年以内にがんにかかる確率は2%にすぎない。民間保険会社がすすめる「がん保険」は、本当に必要なのか――。

※本稿は、「プレジデント」(2018年1月15日号)の掲載記事を再編集したものです。

自分で保障内容を説明できるか?

日本には公的医療保険があり、会社勤めの人は勤務先を通じた健康保険に、自営業者なら国民健康保険に入っています。この制度のおかげで、病院窓口での支払いは基本的に3割負担で済みます。さらに治療費がかさむ場合には、高額療養費制度が使えます。例えば、70歳未満で月収28万~50万円の人の場合、1カ月の自己負担限度額は概ね9万円以内です。こうした手厚い制度があるので、民間の医療保険はあくまで公的医療保険を補完する程度と位置づけるべき。「入っておくと安心」ではなく「最小限の利用が正解」と認識してほしい。

しかも、民間の医療保険は手数料が高い。入院時などに受け取れる給付金の原資は、保険料から保険会社の経費を引いたもの。専門家によると、経費の割合は3割程度と見ていいそうです。

では、がん保険はどうか。がん治療に伴う自己負担総額は、公的保険が適用されない自由診療などを含め、100万円以内に収まることが多いようです。自分で100万円出せる人は、加入に前のめりになる必要はないでしょう。