石灰石から、紙の代替品をつくる会社がある。紙の原料である木材だけでなく、製造に使う水を98%削減することができるという。米国、インド、サウジアラビアなど世界が注目するその技術とは――。

石灰石を主原料にした紙・プラスチックの代替品を開発

【田原】山崎さんの会社は、LIMEX(ライメックス)という新素材を開発したと聞きました。いったいどんなものですか。

【山崎】石灰石を主原料とした新素材で、紙やプラスチックの代替になります。LIMEXからつくったシートは、紙と同じように切ったり、印刷することが可能です。いまお渡しした名刺もLIMEXでできています。

【田原】これ紙じゃないんですね! 紙ではなく、LIMEXを使うメリットは何ですか。

【山崎】まずはエコ。普通紙を1トンつくるには、樹木約20本と水約100トンが必要です。一方、LIMEXシート1トンなら、石灰石0.6~0.8トンとポリオレフィン樹脂0.2~0.4トンでいい。

【田原】木材の節約になる?

【山崎】木材もそうですが、より重要なのは水ですね。日本は水資源が豊富な国なので実感しづらいですが、いま世界では水資源の枯渇が危惧されています。たとえばOECDは、2050年までに世界の40%の人が深刻な水ストレスのある地域に住むことになると予想しています。また、ダボス会議でも、今後10年で起こりうるリスクの中でもっとも大きいのは水だと警告された。製造に水をほとんど使わないLIMEXは、水資源に優しい素材です。