「笑顔なのに目が笑っていない」という人に、どんな印象をもつでしょうか。言動と表情が一致していない人は、不気味に見えます。一致させるにはどうすればいいのか。コミュニケーション術を研究し、企業や官公庁向けにコンサルティングを行う清水建二氏は、「本当の感情を土台にすることが重要です」といいます。清水氏が説く、「自己表現の3原則」とは――。

※本稿は、清水建二『ビジネスに効く 表情の作り方』(イースト・プレス)の第3章「『ノンバーバル・スキル』をビジネスの場へ!」の一部を再編集したものです。

「自己表現の3原則」を繰り返して身につける

自分の思いや感情を効果的に伝える、つまり自己表現には「3原則」があります。それは、「本当の感情を土台にする」「言葉とノンバーバル・シグナルとを一致させる」「相手の感情の流れを読む」の3つです。

普段からこれらを意識し実践することで、さまざまなコミュニケーション場面において効果的に自己表現ができるようになります。逆に相手に自分の思いや感情が届いていないと感じたら、あるいはどのように伝えようか悩んだら、この3原則を思い返してください。どれかが欠けているはずです。原則に立ち戻ることで、さまざまなコミュニケーション場面に応用できる発想とスキルを身につけられるでしょう。

原則1:本当の感情を土台にする

写真=iStock.com/SasinParaksa

最初の原則は「本当の感情を土台にする」です。「感情を人にうまく伝えられない」「ここ最近伝えるのが下手になった」「ある特定の人・場面でそれが難しくなる」「誤解を与えてしまったかも」などと思うとき、「今の自分の本当の感情はなんなのだろうか?」「自分がこの人に本当に伝えたいことは何だろうか?」と振り返ってください。

通常、真の感情があればそれは自然に表に表れるのですが、自身のノンバーバル・スキル不足や相手の要因によって伝わらない場合があります。ここでは、心構えと感情を心に宿すための日々の行動指針を紹介したいと思います。

あなたの感情を相手に伝えたいと思うとき、そこに本当に感情はありますか? 空虚な心に表情や動作だけを加えてみても、そこにあるのは不気味な不自然さです。表情が動く人型ロボットがありますが、人間の外観に近づけば近づくほど、その表情が動くと不気味に見えてしまいます。感情がなければ、むやみにつくろうことは逆効果となり得ます。

ネガティブな感情をポジティブな表情や動作で隠してみても、そこにあるのは直感的に感じられる違和感です。怒りが漏れ出る「笑顔」や目が笑っていない「笑顔」は、潜在的に相手の意識にネガティブな印象を残します。